...坂の中腹からながめがまた下の方へひらけて...
岩野泡鳴 「鹽原日記」
...いま思いつくいちじるしい例をあげるならば、もがけばもがくほど、一分ずつ一寸ずつジリジリと身を没していく、底なしの泥沼におちいった人間の恐怖、頑強な身体を持ちながらどうにも抵抗のできない気持、表面は固体のように見えていて、その実どこまでも底のないという異様の恐怖、長いあいだかかって腰から腹、腹から胸、頸、顎、口、鼻と没していき、最後にもがく指だけが残って、それも見えなくなると、あとにはなにごともなかったようにじっとよどんでいる泥沼の表面、これらのすべての条件が、どんなお化けよりも、どんな拷問よりもいっそう深く鋭いスリルを生むのである...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...中腹から上は枯草...
種田山頭火 「行乞記」
...馬の頭から腹から浴びせかけていた...
寺田寅彦 「柿の種」
...中腹から上は木立もなく...
豊島与志雄 「自由人」
...海鼠(なまこ)の腹から生れた怪物だ...
中島敦 「南島譚」
...「己れッ」空き腹から...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...いずれも脇腹から肩上に穂先が出るほど突きあげ...
服部之総 「せいばい」
...疎開児童は田舎へ行って爆弾からは護られたけれども空腹からは護られませんでした...
宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
...腹から出たらまたその時に別の考へもあるといふもんだ...
室生犀星 「神のない子」
...あの父親は腹からの町人で御座いまっしょう」「ヘエヘエ...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...行ったコタネエ」鬚男は腹からのルンペンらしく...
夢野久作 「老巡査」
...さながら深山の中腹から鬱蒼(うっそう)たる谷や流れや...
吉川英治 「江戸三国志」
...ただ中腹から仰ぐ憧憬の焦點であるが故に頂上の尊敬はあるのであつて...
吉川英治 「折々の記」
...なお石段の中腹から...
吉川英治 「私本太平記」
...御妾腹から出たお方ではありますが...
吉川英治 「新書太閤記」
...腹から腰と撫ぜて見た...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...その山の中腹から上の草原は...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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