...煙のやうに脈々と流れて行つた木犀のかぐはしい呼吸で...
薄田泣菫 「木犀の香」
...その文化伝統が名もなき仏師のうちにすら脈々と生きているのだ...
高見順 「仏像とパゴダ」
...忘れられなくつて困るツて申しますね』『本当ですよ』今でもその子のことが脈々と思ひ出されて来るらしく...
田山録弥 「ある日」
...脈々とした哀愁が私の胸を打った...
田山花袋 「『田舎教師』について」
...義理人情の電流が脈々と流れている...
寺田寅彦 「年賀状」
...脈々と連なる尾根を見晴らす時...
中井正一 「うつす」
...まず脈々として遠く寄せて来る大洋の波ですな...
中里介山 「大菩薩峠」
...脈々と俺に伝わって来るのを感じて...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...この裂帛の気合が脈々と流れているように私には感ぜられることが多い...
中谷宇吉郎 「民族的記憶の名残」
...その間にとにかく脈々としてこの雪の仕事が今日まで続けられ...
中谷宇吉郎 「雪今昔物語」
...その裏に脈々として続く道を見るまでは...
中谷宇吉郎 「由布院行」
...その一頃の波脈々としてサワ立てるは...
宮崎湖処子 「空屋」
...やはりそういう厳しいやさしさを脈々と感じました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...自分といふものの血管に脈々と生を搏つてゐるものであるといふことを...
吉川英治 「折々の記」
...王義明致流の秘妙を脈々と伝えて敵へ迫ってくる...
吉川英治 「剣難女難」
...当年の面影が脈々と汲みとれる所に尽きないおもしろさがある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...若い功名心が、脈々と、肋骨(あばら)のうちに張りつめる...
吉川英治 「宮本武蔵」
...悪鬼の血潮が脈々と波打っているかのようであった...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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