...四面みな梅、多摩川其の中を貫きて、一村みな梅、老梅も多し...
大町桂月 「久地の梅林」
...春琴の繊手(せんしゅ)が佶屈(きっくつ)した老梅の幹をしきりに撫(な)で廻す様子を見るや「ああ梅の樹(き)が羨(うらやま)しい」と一幇間が奇声(きせい)を発したすると今一人の幇間が春琴の前に立ち塞(ふさ)がり「わたい梅の樹だっせ」と道化(どうけ)た恰好(かっこう)をして疎影横斜(そえいおうしゃ)の態(てい)を為(な)したので一同がどっと笑い崩(くず)れた...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...その背景をなしてゐた老梅はもう枯れてしまつて花木が植ゑてある...
種田山頭火 「行乞記」
...まぬけといはうか!老梅が咲き満ちてゐた...
種田山頭火 「道中記」
...右手には槎(さが)たる老梅の縦横に枝をさしかわしたるがあざやかに映りて...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...障子の外に老梅の影が...
中里介山 「大菩薩峠」
...おのおのの持ち分の老梅にも何とか名をつけたがったり...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかしそれはこの椽側からは左手になつた老梅が散つてしまつて油蟲の防ぎに苦心する頃でなければならぬ梅の花はまだ散りはじめない(明治三十六年三月)...
長塚節 「我が庭」
...実は先日僕がある用事があって図書館へ行って帰りに門を出ようとしたら偶然老梅(ろうばい)君に出逢ったのさ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...老梅君と君とは反対の好例として新撰蒙求(しんせんもうぎゅう)に是非入れたいよ」と迷亭君例のごとく長たらしい註釈をつける...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...近頃は立町老梅なんて名はつまらないと云うので...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...海鼠(なまこ)の事がかいてある」「老梅は海鼠が好きだったからね...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...これこそ大見識を有している偉人に相違ないと思い込んだ天道公平事(てんどうこうへいこと)実名(じつみょう)立町老梅(たちまちろうばい)は純然たる狂人であって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...黐(もち)それに泉水ちかく老梅の古木が...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...萩(はぎ)の袖垣(そでがき)から老梅(ろうばい)の枝へと...
吉川英治 「神州天馬侠」
...老梅のように痩せて尖(とが)っている...
吉川英治 「宮本武蔵」
...その老梅のものではなく...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...老梅などに見る様に半ばは幹の朽ちているものもあった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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