...僧在翠微開竹房(そうはすゐびにあつてちくばうをひらく)...
芥川龍之介 「骨董羹」
...僧は翠微(すゐび)に在つて竹房を開く...
芥川龍之介 「文芸鑑賞講座」
...彼は翠微を展望しつつ傍をかえり見ていうには「下野の山川は風光明媚だが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...十七嵐山の翠微、其前を廣々と流れてゐる桂川の白砂、渡月橋を渡る人、此方の岸に繋ぐ筏、それから白い手拭を被つて櫻の葉蔭に立つてゐる畑の媼等、是等が一幅の畫圖になつて目の前に展開されてゐるのを五十嵐は柱に背を凭せて昂然として眺めてゐる...
高濱虚子 「俳諧師」
...次第に木曾の翠微(すゐび)に近(ちかづ)けるは...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...わが稚(をさな)き頃より夢に見つる馬籠(まごめ)驛の翠微(すゐび)は遂に一目をも寓する能(あた)はざるなり...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...前山後山の翠微(すゐび)は絶えずその搖曳せる嵐氣(らんき)を送りて...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...翠微を出てから、暑さは加つて来た...
田山録弥 「草津から伊香保まで」
...三ツ峯の牛の臥(ね)たやうに低く長く連(つらな)つて居る翠微(すゐび)や...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...それが絶海の孤島のやうな筑波の翠微と相對して...
田山花袋 「日光」
...標野あたりを眞直に山の翠微に向つて進んで行くやうなところだつた...
田山花袋 「道綱の母」
...唯一の交通線である平康からの自動車が疲れた旅人のやうに微な爆音をあたりの翠微に震はせながら...
田山録弥 「山のホテル」
...その前に横はつてゐる沖の島の翠微が赭土色の斷崖面をいつまでも眼印のやうに此方に向けてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...目睫(もくしょう)の間に迫る雨後の山の翠微(すいび)を眺めていた...
徳田秋声 「縮図」
...翠微(すいび)の間(かん)に一抹(いちまつ)の煙がある――煙の下にはきっと火がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...蚊帳釣りて翠微つくらん家の内特に「翠微(すいび)」といふは翠の字を蚊帳の色にかけたるしやれなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...遠近啼過幾翠微...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...室に筑波の翠微を仰ぎて...
横瀬夜雨 「花守」
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