...色白の顔面を縦横にきざんだ皺との対照が...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...実は古い昔に名の知れない測量部員が一度はそこらを縦横に歩き回ったあとかもしれない...
寺田寅彦 「地図をながめて」
...刈り株ばかりの冬田の中を紅もめんやうこんもめんで頬(ほお)かぶりをした若い衆が酒の勢いで縦横に駆け回るのはなかなか威勢がいい...
寺田寅彦 「田園雑感」
...もう其の向うは乱れ葦の縦横に生い茂って...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...小さな溝(みぞ)を隔てて(この町は至るところ溝川が縦横に貫通しているので)...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...縦横に駆馳して旗艦を逐い...
豊島与志雄 「書かれざる作品」
...池の中には黒いものが縦横に動乱しているのが分った...
豊島与志雄 「山上湖」
...おのれの文体を創造して縦横に描写する大作家というよりも...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...俳論を縦横に書いて月並派を攻撃して...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...転ずれば倒木縦横に交じりて越すに由なし...
永井隆 「長崎の鐘」
...縦横に書き上げたたて看板の文字は...
中里介山 「大菩薩峠」
...縦横に走っている...
中谷宇吉郎 「アメリカ種の落語」
...籠(かご)抜け――あるいは白刃を縦横に突通し...
長谷川時雨 「牢屋の原」
...事務にかけてはキビキビと縦横に敏腕をふるった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...親爺は峠の松の木の傍らで仁王のやうな拳固を縦横に振りまはして何事かを喚いてゐた...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...その古格を破りて縦横に思想を吐き散らせし処常にその妙を見(あら)はすを...
正岡子規 「俳諧大要」
...縦横にタタキ付けられている大小長短色々の疵痕(きずあと)を……殴打...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そしてその刳れた所に模型地図の山脈などに見る幾つかの高まりが縦横に岩面を走っているのである...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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