...折しも穴を潜ろうとする蠅男の一本の足に素手で飛びついた...
海野十三 「蠅男」
...ほとんど素手で攻め落しているじゃありませんか...
太宰治 「惜別」
...ルクレチウスは素手でともかくも後代の物理的科学の基礎を置いたことは事実であるのに...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...乞食物貰いが来れば気前(きまえ)を見せて素手では帰さなかった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...だが、三人の近侍は、馬側へ集まって、一人は、素手で「広岡っ...
直木三十五 「南国太平記」
...素手ですごすご帰る...
中里介山 「大菩薩峠」
...そうして素手で向った相手の曲者に...
中里介山 「大菩薩峠」
...素手でやわらの乱取(らんど)りを試むることなどがあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...泥棒が素手で逃げたにも拘わらず...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...素手でハンドルを握るような事はしないんですって...
野村胡堂 「身代りの花嫁」
...それも素手ではなくて...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...そこを間違えては困るが、こちらがそういう存念なのだから、貴様の方でもこれからは、わしにだけは、害意を捨てて貰いたいな」「と、仰言っても、御隠居さん――」と、闇太郎は、先き程までの、夜の巷での、悪戦苦闘の、忌(いま)わしい追憶は、とうに忘れてしまったように、美酒の酔いに、陶然(とうぜん)と頬を、ほてらせながら、「何しろ、性分が性分で、さっきから、申し上げるように、一度盗みたいとなると、どうも遠慮が出来ねえ生れつき、こちらのようなお屋敷に、足踏みをしていると、たまにゃあ、素手では、帰えられねえような気持になることもあるでしょう...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...素手で蠅(はえ)を追うようになるより...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...素手でも行かれんわな...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...矢張(やはり)素手で水を汲む...
森鴎外 「雁」
...素手で捕えてみせるよ...
矢田津世子 「反逆」
...素手で殴りあいをするだけなら...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...素手で組んだほうが始末がいい...
吉川英治 「新・水滸伝」
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