...猪口(ちょく)の糸底(いとぞこ)ほどの唇(くちびる)を...
芥川龍之介 「田端日記」
...……ふと心附いて、蟇(ひき)のごとく跼(しゃが)んで、手もて取って引く、女の黒髪が一筋、糸底を巻いて、耳から額へ細(ほっそ)りと、頬にさえ掛(かか)っている...
泉鏡花 「薄紅梅」
...」と糸底を一つ撫でて...
泉鏡花 「婦系図」
...四本の指で糸底を支えて...
豊島与志雄 「叔父」
...――その糸底(いとぞこ)を見て御覧なさい...
夏目漱石 「草枕」
...糸底(いとぞこ)を上に...
夏目漱石 「草枕」
...相馬焼(そうまやき)の茶碗(ちゃわん)の糸底(いとそこ)を三本指でぐるぐる廻しながら考えた...
夏目漱石 「琴のそら音」
...或時の彼は細君の鳩尾(みぞおち)へ茶碗(ちゃわん)の糸底を宛(あて)がって...
夏目漱石 「道草」
...宗助は糸底(いとぞこ)を上にしてわざと伏せた自分の茶碗と...
夏目漱石 「門」
...宗助(そうすけ)は糸底(いとぞこ)を上(うへ)にしてわざと伏(ふ)せた自分(じぶん)の茶碗(ちやわん)と...
夏目漱石 「門」
...五六間先の家光の手にある茶碗の糸底(いとぞこ)に発矢(はっし)と当ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二つの湯飲茶碗の糸底を...
林芙美子 「朝夕」
...掌のうえでゆっくりと糸底をまわしながら...
久生十蘭 「西林図」
...掌(たなごころ)の上で薄手茶碗の糸底(いとぞこ)を廻しながら...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...薄く琺瑯(ほうろう)のかかった糸底の中に茶がかった絵具で署名がしてあった...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...糸底(いとぞこ)の上に砂糖...
森鴎外 「うたかたの記」
...みな盃の糸底ほど小粒である...
吉川英治 「随筆 新平家」
...杯の糸底(いとぞこ)で秀八の冷たい指に...
吉川英治 「春の雁」
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