...まあ一時を糊塗(こと)して置いた...
芥川龍之介 「京都日記」
...即興詩もて口を糊せんといふにあらずや...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...嫁は古河の里へ預けてあります」他の子供もそれぞれ糊口のために離散しているという...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...常(つね)に糊付(のりつけ)シヤツは着(き)ないで...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...あのまま今以て曖昧模糊(あいまいもこ)...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...葉子は庸三によって新聞の記事を何とかできるだけ有利に糊塗(こと)しなければならなかったが...
徳田秋声 「仮装人物」
...トゥルニュール(着物を脹らますために用いる糊づけの布)を使ったり...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...空の空としてからが生きとし生ける者にとつて全部たる生涯は糊塗されるのである...
中原中也 「音楽と世態」
...出来るかぎりを尽して働くものの口を糊(のり)した...
長谷川時雨 「大橋須磨子」
...口を糊するを得ず...
福沢諭吉 「学問の独立」
...口に何か呟き居られども曖昧模糊として速記し難し...
牧野信一 「新興芸術派に就いての雑談」
...他は雲煙模糊たる霞をとほして遥かなる清浄の空へ翼を伸さんものと悶掻いてゐるのだ...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...猟奇的なる舞台面の工夫や悪生活の単なる記録に依つてのみ色彩の変化を糊塗する如き影灯籠の踊りを時には休止して...
牧野信一 「浪曼的時評」
...手際よくクルクルと包んではすぐ封じ目を糊で貼った...
正岡容 「小説 圓朝」
...ぺっとりと糊のように坐って...
室生犀星 「香爐を盗む」
...ようよう口を糊(のり)することのできるだけで満足した...
森鴎外 「高瀬舟」
...なにもかも模糊(もこ)とした霧に包まれたままだった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...罎詰めの糊をくっつけて逃げて来る...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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