...案に相違して極めて平板な不徹底な家常茶飯的葛藤しか描かれていなかったのは畢竟(ひっきょう)作者の根本の芸術的興味が去ってしまったからであろう...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...それは、葛原勾當日記の、假名文字活字日誌を土臺にして、それに私の濁創も勝手に加味し、盲人一流藝者の生活を、おぼつかなく展開してみたものでした...
太宰治 「文盲自嘲」
...葛布の価はますますさがり...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「王成」
...私はそこに屈んで窓硝子についた放射状のひびや、ぢきそばにある榧(かや)の木や、朽木にからんだ美男葛、美男葛の赤い蔓、蔓のさきに汁をすふ油虫などを眺めてゐた...
中勘助 「銀の匙」
...「蟻の夢は葛餅か」と相手は高からぬほどに笑う...
夏目漱石 「一夜」
...人事葛藤(じんじかっとう)の詮議立(せんぎだ)てをしては俗になる...
夏目漱石 「草枕」
...昨夜お勢が葛根湯(かつこんたう)を飮むところを見なかつたのかい」平次はまだ葛根湯に取憑(とりつ)かれてをります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...番頭の忠五郎に葛西(かさい)の在にいるのを捜し出され...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――葛飾(かつしか)だつて...
林芙美子 「浮雲」
...私は米俵の蔭にもぐつて葛籠の重みに命を托す思ひでガタ/\と震へてゐると...
牧野信一 「鬼の門」
...その子諸父に謀りていわく、われ聞く、里中葛秀才、天性よく記すと、渠(かれ)、昨わが家を過(よぎ)り、かつてこの籍を閲す、あるいはよく記憶せん、なんぞ情をもって叩かざるや、と...
南方熊楠 「失うた帳面を記憶力で書き復した人」
...葛飲み畢り、命じて紙筆を取らしめ、ために某月某日某人、某の物若干を染むと疏すること、およそ数百条、書くところの月日姓氏、名色丈尺、毫髪の差(ちがい)なし、民持ち帰り、物主を呼び、読んでもってこれを示すに、みな頭を叩いて駭き伏す」と...
南方熊楠 「失うた帳面を記憶力で書き復した人」
...催馬楽(さいばら)の葛城(かつらぎ)が歌われた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...よく反目や葛藤(かっとう)が生れるからである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...『倭名鈔』の郷名に葛例(かれ)または嘉礼があるというが...
柳田國男 「地名の研究」
...東湾汽船も、葛西汽船も、徳行町が終点であった...
山本周五郎 「青べか物語」
...その三ツの荷葛籠(につづら)……」と言いかけて恐ろしさに唾(つば)をのんだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...ここに展開せられた葛藤の意義は...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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