...――に就いて出來うる限り精細な記述をなすべき機會に逢着した...
石川啄木 「葬列」
...彼の好色物に現われた性生活の諸相の精細な描写記録は...
寺田寅彦 「西鶴と科学」
...このような現象でも精細な記録を作って研究すれば気象学上に有益な貢献をする事も可能であろう...
寺田寅彦 「化け物の進化」
...すなめりの類の精細な写生図が羅列してあったのでわれわれ二人の中学生は眼を丸くしてそれを点検したばかりでなく...
寺田寅彦 「初旅」
...そうして二つ三つに切った死骸を蓆(むしろ)で包んで川へ流しに行くまでを精細な数コマに描き分けたものらしい...
寺田寅彦 「山中常盤双紙」
...氏の精細なポレミックを無効に終らせる...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...フェノロサは浮世絵板物(はんもの)中最も上乗(じょうじょう)なるもの凡(およ)そ四百種を採れるの傍(かたわら)板物の研究に必要なる板画家の肉筆制作凡そ五十種を合せてその制作の年代に基(もとづ)き順次にこれを配列し個々につきて精細なる説明を施すと共に浮世絵一般の歴史についてもまた合せ論ずる処ありき...
永井荷風 「江戸芸術論」
...精細なる実地検分を遂げしめようとしている時に...
中里介山 「大菩薩峠」
...色の精細な変化などがよく分るようだ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...あなたの体は精細な五官以上の官能で震へると思ふ……それは涙と笑の心置きない抱合から滲みでるもの...
野口米次郎 「能楽論」
...引揚者一人一人について精細な調査報告書が出来...
久生十蘭 「ノア」
...その精細な植物の記載文を見て...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...かつその客観を写すところきわめて麁鹵(そろ)にして精細ならず...
正岡子規 「俳人蕪村」
...後世の俳家徒(いたずら)に精細ならんとしてますます俗に堕つる者...
正岡子規 「俳人蕪村」
...お梅は自分もこれに倣(なら)つて精細な計算帖をつくる氣になつて暇を告げた...
正宗白鳥 「孫だち」
...蓋のうらには精細な...
室生犀星 「香爐を盗む」
...ことにピレネエのものには、ユゴオのもの、テオフィル・ゴオチエのもの、更にイポリツト・テエヌのものなどいかにも清新な、爽かな氣分に充ちたもので、それと共に、精細な觀察、詩的情調が漲つてゐる...
吉江喬松 「山岳美觀」
...諸異本の精細な対照によりその原形を追究してみたいとも考えている...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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