...粒々のガラス玉が腕の毛をチクチク引き抜いて痛かった...
梅崎春生 「記憶」
...粒々のガラス玉をつらねたのれんがあり...
梅崎春生 「幻化」
...粒々辛苦してはじめて真味がわかるくらいなものだ...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...庭の紅梅の粒々の蕾(つぼみ)は...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...母の粒々辛苦(りゅうりゅうしんく)の金とおもえば居ても立ってもおられず...
田中英光 「オリンポスの果実」
...今朝は嫌な事と嬉しい事とがあつた、その二つを相殺しても、まだまだ嬉しさが余りあつた、――といふのは、起きてすぐ前の畠に尿して道を横ぎらうとするところへ、まご/″\走る自動車がやつてきた、彼は巡査だつた、私が尿したのを見たのだらう、そして恐らくは自分のまご/″\を隠すためだらう、そこへ小便してはいかんぢやないか、といひ捨てゝいつた、私は無論何とも答へなかつた、そして彼の没常識を憐んだ、私などはなるたけ小言をいひたくないのに、彼はなるたけ小言がいひたいのだ、とうてい部長にもなれない彼だ、なぜ彼等はあんなにこせ/\するのだらう、――嬉しい事といふのは、郷里の妹からたよりがあつたのだ、ゲルトも送つてくれたし、着物も送つてくれた、私はさつそくその着物をつけて、そのゲルトで買物しい/\歩いた、あゝ何といふ肉縁のあたゝかさだらう!米を買つた、一升拾六銭だ、米はほんたうに安い、安すぎる、粒々辛苦、そして損々不足などゝ考へざるをえないではないか...
種田山頭火 「行乞記」
...粒々たる工夫に充ちた併しあまりに非凡ではない処の筆なのである...
戸坂潤 「思想としての文学」
...農夫が粒々辛苦する以上の辛苦であった...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...一粒々々に仏様がいらっしゃるんだが...
中谷宇吉郎 「米粒の中の仏様」
...一ツ二ツ三ツ四ツ玉蜀黍の粒々は二十五の女の侘しくも物ほしげなる片言なり蒼い海風も黄いろなる黍畑の風も黒い土の吐息も二十五の女心を濡らすかな...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...牡蛎籠の上に一列に並んでゐるレモンの粒々に...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...零細な金子(かね)を粒々として貯めていたのである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...思えばこうした永い年月の粒々辛苦の芸術行路のゆえである...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...茶褐色(ちゃかっしょく)の粒々を...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...優しさと勁(つよ)さと無限の的確さをもった粒々の音...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...粒々苦心の結晶が...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...細工は粒々(りゅうりゅう)仕上げを御覧(ごろう)じです」しかし私があの廃屋の中で聞いたお話は...
夢野久作 「少女地獄」
...梢からもいだ實を、一粒々々、布巾で丹念にこすつて、燒酎へ漬けこむ...
吉川英治 「折々の記」
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