...時しも、鬱金(うこん)木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜(ひとしも)くらった、大角豆(ささげ)のようなのを嬉しそうに開けて、一粒々々、根附だ、玉だ、緒〆(おじめ)だと、むかしから伝われば、道楽でためた秘蔵の小まものを並べて楽しむ処へ――それ、しも手から、しゃっぽで、袴(はかま)で、代書代言伊作氏が縁台の端へ顕(あら)われるのを見ると、そりゃ、そりゃ矢藤さんがおいでになったと、慌(あわただ)しく鬱金木綿を臍(へそ)でかくす……他なし、書画骨董の大方を、野分のごとく、この長男に吹さらわれて、わずかに痩莢(やせざや)の豆ばかりここに残った所以(ゆえん)である...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...額や鼻先から玉のような汗が一粒々々にじみ出たので...
魯迅 井上紅梅訳 「明日」
...粒々のガラス玉をつらねたのれんがあり...
梅崎春生 「幻化」
...さらに小さい粒々の黒点が...
海野十三 「火星兵団」
...粒々辛苦してはじめて真味がわかるくらいなものだ...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...白い上にも眞白い米の粒々として相重なつてゐるのが涙が零れるやうに面白い...
高濱虚子 「俳諧師」
...粒々辛苦にうたれるのである...
種田山頭火 「其中日記」
...その粒々たる苦心の結晶が...
戸坂潤 「社会時評」
...粒々皆辛苦、実にこれは勿体ないものである...
新渡戸稲造 「教育家の教育」
...一ツ二ツ三ツ四ツ玉蜀黍の粒々は...
林芙美子 「新版 放浪記」
...ぞうげ色の粒々が行列して出て来る...
林芙美子 「新版 放浪記」
...ふた品ほどの皿の上――ひとつは真黒い粒々でもうひとつは茶っぽいドロッとしたものだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...顔中を粒々に鳥肌立たせた小圓太は...
正岡容 「小説 圓朝」
...底の粒々に一つずつふれてゆくように...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...辛苦の粒々を掘(ほじ)っている,遠くには森がちらほら散ッて見えるが...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...またはその粉を糯米にまぜても食った(粒々辛苦)...
柳田國男 「食料名彙」
......
山之口貘 「山之口貘詩集」
...その一ページ一ページの蔭に粒々辛苦している現代ジヤーナリストのなみたいていでない苦勞ばなしや苦心をあはせて感じてくるのであります...
吉川英治 「折々の記」
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