...窪地の中を真っすぐに一と筋向うの土手まで続いている広い路も...
伊藤野枝 「転機」
...柳やイタヤもみぢなどが青い葉を飾つて路傍に立ち並んでゐるその角は、ちひさい個人的な鐵工場で、その筋向うに、「北海實業雜誌社」といふおほきな看板が出してあつて、「島田氷峰」といふ表札が打つてあるのがそれである...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...筋向うの道ばたに姿のいいしだれ柳が立ち並んでゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...日本銀行の筋向うである――に転じたのは...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...つまり姉崎家の少し手前の筋向うに当る所に...
江戸川乱歩 「悪霊」
...取引所の筋向うの細い路次の...
谷崎潤一郎 「細雪」
...父の筋向うに坐(すわ)っていた赭顔(あからがお)の客が...
夏目漱石 「行人」
...それは洗濯屋の筋向うに当る二階建の家(うち)であった...
夏目漱石 「明暗」
...彼の筋向うに席を取って...
夏目漱石 「明暗」
...今朝の話では、筋向うの、嬰児(あかんぼ)も、気管支で、今日中は持つまいと云う事だ...
羽志主水 「越後獅子」
...――私の向っている凸凹のある鏡には、筋向うの、やっぱり釘づけにされた、そして横文字の看板だけをその上にさらし出している、肉屋と、支那人の洋服屋が映っている...
堀辰雄 「雉子日記」
...丁度その尼寺の筋向うに...
堀辰雄 「三つの挿話」
...直ぐ筋向うのボックスに眼をやった時...
松本泰 「日蔭の街」
...筋向うの荒物屋へ立寄て煙草を買い...
松本泰 「秘められたる挿話」
...彼の筋向うの卓子で新聞を読んでいた男であった...
松本泰 「緑衣の女」
...家(うち)は笄町の神道本局の筋向うだ...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...まず筋向うの糊屋(のりや)の婆さん...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...その湯の筋向うの同じく渓ばたに湧く木立の湯というのは更らに変っている...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??