...それぢやア駄目だよと云つて思ひがけぬ處に他の一怪が頭を波の上に突き出す...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...「人殺しの話なんかしやしねえ」下唇を突き出すようにしたその猪沢の口もとが...
高見順 「いやな感じ」
...獅子鼻の鼻糞の附いている鼻を前へ突き出すようにした...
田中貢太郎 「放生津物語」
...お婆さんの突き出すのをテエブルへ運ぶ...
谷譲次 「踊る地平線」
...下へ持ってって下さいと青江の前に突き出すと...
豊田三郎 「リラの手紙」
...自分の前へ槍を突き出すのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...主膳の後ろ姿に向って唇を突き出すと...
中里介山 「大菩薩峠」
...白い顔を久一さんの前へ突き出す...
夏目漱石 「草枕」
...自分の顔を無遠慮に突き出すのは...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...黒金につつめる狼(おおかみ)の顔を会釈もなく突き出す...
夏目漱石 「幻影の盾」
...そこは大川へ突き出すやうに花火見物の棧敷(さじき)ができてゐて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まァ一杯頂きましょう」とてれかくしに盃を突き出す...
久生十蘭 「魔都」
...待ち構えてゐるかのやうに窓から首を突き出す私の姿は...
牧野信一 「剥製」
...その金だけは気の毒だから返したらどうだえ」他の顔を見るとすぐ「五十銭(戦後は暴騰して百円になった!)くれ」と手を突き出すくせに...
正岡容 「わが寄席青春録」
...舌を長く突き出すように動かしながら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...顎を突き出すようにして...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...冷(つ)めたい空気の中へ頭を突き出すと同時に...
夢野久作 「木魂」
...槍を繰り引いて突き出すいとまよりは...
吉川英治 「新書太閤記」
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