...我木曾冠者義仲が其燃ゆるが如き血性と、烈々たる青雲の念とを抱いて何等の譎詐なく、何等の矯飾なく、人を愛し天に甘ンじ、悠然として頭顱を源家の呉児に贈るを見る、彼が多くの短所と弱点とを有するに関らず、吾人は唯其愛すべく、敬すべく、慕ふべく、仰ぐべき、真個の英雄児たるに愧ぢざるを想見せずンばあらず...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...更に矯飾僞善の色さへ加はつてゐるのは如何したものであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...この男の前では思わず知らず心にもない矯飾(きょうしょく)を自分の性格の上にまで加えた...
有島武郎 「或る女」
...矯飾らしい点はすこしも見えなかった...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...矯飾の徒にあらず...
トゥルゲニエフ Ivan Tourguenieff 上田敏訳 「一僧」
...矯飾が伴いがちの修養のない点において...
津田左右吉 「日本歴史の特性」
...(XI 765)脚神速のアキリュウス其時答へて彼に曰ふ、『ラーエルテースの秀れし子、智謀に富めるオヂュシュウス、心にわれの思ふ儘、事成るべしと思ふ儘、矯飾あらず、明かに口を開くぞ善かるべき...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...時には偶像としての自己を壇上に置いて私達を冷(ひやや)かに見降さうとする矯飾的態度さへ現した...
南部修太郎 「猫又先生」
...今の様に矯飾(きょうしょく)はしなかった...
二葉亭四迷 「平凡」
...そしてあの右腕のなまめかしさにあらゆる矯飾の精髄があるとわたしは思う...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「しめしあわせ」
...しかし其語は他書にあつては矯飾に過ぎぬが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...矯飾(きょうしょく)して言ったわけではなかったらしい...
森鴎外 「雁」
...矯飾して言ふのではない...
森鴎外 「追儺」
...矯飾して、それが何の用に立つものか...
森鴎外 「追儺」
...それを読んで女はこうすれば男に気に入るというような矯飾な工夫を増長して...
与謝野晶子 「産屋物語」
...一つは男に甚(ひど)く女の醜い所を見せまいという矯飾の心...
与謝野晶子 「産屋物語」
...世間に女らしく見せようとする矯飾の心を抛(なげう)って...
与謝野晶子 「産屋物語」
...矯飾(けうしよく)せらるゝに依るもの...
吉川英治 「平の将門」
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