...花川戸の山の宿から逆に後に戻って馬道へ出ようという間に猿若町(さるわかちょう)がある...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...こゝは芸人や芝居者また遊芸の師匠なぞの多い処から何となく猿若町(さるわかまち)の新道の昔もかくやと推量せられる...
永井荷風 「路地」
...それから猿若町(さるわかちょう)に芝居小屋がたくさんあったかのように...
夏目漱石 「明治座の所感を虚子君に問れて」
...お詣(まい)りの帰りは、芝大門前の自分の家へ行ってくつろぐなり、猿若町へ延して、芝居を覗くなり、自由に夕景までは遊んで帰るが宜い――という、よく解った英山公の許しがあったので、お園は丈太郎を目黒の寮まで送り届けると、口止めやら心付けやらを存分にはずんで、供の者を銘々の好きな場所へ追いやり、自分は其の儘踏み止まって、この恐ろしい疑いを解こうと決心したのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...吉原と猿若町の空気が...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...ずっと昔、浅草猿若町へ、三座がひけぬ前の、葺屋町(ふきやちょう)、堺町(さかいちょう)の賑いをとりかえしたかの観を呈した...
長谷川時雨 「明治座今昔」
...浅草猿若町(さるわかちょう)へ転地させられた...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...猿若町に立並んで三座となったが...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...浅草猿若町(さるわかちょう)の文楽座に現われることになった...
長谷川時雨 「竹本綾之助」
...猿若町まで引返したがやはりいけない...
久生十蘭 「魔都」
...かりにも猿若町の三座の随一...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...市村両座と共に猿若町(さるわかちょう)に移って...
森鴎外 「細木香以」
...」この年の秋猿若町市村座で...
森鴎外 「細木香以」
...(F・O)翌朝――猿若町に櫓の太鼓鳴り響けば鳴り響く櫓太鼓――=(F・I)お光の茶店(朝まだき)駕籠が一丁待っている...
山中貞雄 「中村仲蔵」
...また猿若町の芝居小屋の片隅で...
山本周五郎 「はたし状」
...捉まったって」「猿若町の芝居茶屋に隠れているところを踏みこまれ...
山本周五郎 「花も刀も」
...猿若町(さるわかちょう)がハネると...
吉川英治 「松のや露八」
...猿若町の低い屋根越しに...
吉川英治 「松のや露八」
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