...猶(なほ)、ついでにつけ加へれば、このドラマンドといふ人は、名高い小説家スモレツトの曾姪(ひいめひ)を細君にしてゐて、そのまた細君は、甚だ文学好きだつたといふことである...
芥川龍之介 「日本の女」
...『好い月ですわねえ!』智恵子は猶去り難気(がたげ)に恁(か)う言つた...
石川啄木 「鳥影」
...既(すで)にして猶子(いうし)が左道(さだう)を喜(よろこ)ばず...
泉鏡花 「花間文字」
...猶(なお)行人の袖を吹いたり店の看板を鳴らした...
梅崎春生 「風宴」
...そしてエレン・ケイは猶続けて云う...
大杉栄 「新しき世界の為めの新しき芸術」
...今(いま)しも町(まち)を漁(あさ)つて來(き)た猶太人(ジウ)のモイセイカ...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...『では!』『御機嫌よく』かう別れをつげた後でも猶ほかれ等は別れかねた...
田山花袋 「道綱の母」
...速(はや)きに過(す)ぐるは猶(なほ)遲(おそ)きに過(す)ぐるが如(ごと)しぢゃ...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...猶予(ゆうよ)を三日間とっておいた...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう猶予するわけにはゆきませんから...
中里介山 「大菩薩峠」
...最早(もはや)一分も猶予(ゆうよ)が出来ぬ仕儀(しぎ)となったから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...俺の予猶のある気持をつれなく思ふであらう...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...猶読書大切とも云えますが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...猶(なほ)我等はしづかに語らめ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...将軍豪興人猶記...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...もはや猶予(ゆうよ)のときでない...
吉川英治 「私本太平記」
...問「陣地視察中ノ信長ハ、猶(ナオ)、前線ニ止マレルヤ否ヤ」答「清洲ヘ帰城セリ」問「出陣ノ様子ハ」答「見受ケラレズ」問「人数加勢ノ形勢ハ如何ニ」答「ナシ」問「兵糧入レノ松平軍ガ、近ヅキツツアルヲ、敵ハナオ知ラザルナランカ」答「然ラズ」問「而(シカ)モ、加勢モナク、信長ノ出動モナキハ」答「彼等ニ、御味方遮断ノ自信アルト見ユルナリ」問「最モ、手強(テゴワ)キ敵塁ハ」答「鷲津(ワシヅ)、丸根ノ二塁ト見ラレテ候」問「味方、前進猪突(チヨトツ)シテ、勝利ノ分アリヤ無シヤ」答「断ジテコレ無シ」――と、いったような応答が、かなり細微(さいび)にわたって交わされた...
吉川英治 「新書太閤記」
...時刻の猶予(ゆうよ)があろうか」「されば...
吉川英治 「源頼朝」
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