...何だかいつにない物哀れな夕方のやうな心持がする...
鈴木三重吉 「桑の実」
...ふと物哀れに耳についた...
永井荷風 「すみだ川」
...共々にあの世へ旅立つという事の次第がこまごまと物哀れに書いてあった...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...いわば興亡常なき支那の歴代史を通読した時のような淋しく物哀れに夢見る如き心持を覚えるのであった...
永井荷風 「伝通院」
...その場の対照として何とも云えず物哀れに...
永井荷風 「曇天」
...物哀れなような気の毒なような変な心持がした...
永井荷風 「ひかげの花」
...よく考えて見ると一種物哀れなような妙な心持のする処があるからである...
永井荷風 「日和下駄」
...通りかかる兵馬の一行を見てしきりに物哀れな声を出す...
中里介山 「大菩薩峠」
...粗末な身扮(みなり)も妙に物哀れです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...寧(むし)ろ物哀れなものがあつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何くれと物哀れげに仰(おっし)ゃって「どうしていつまでもまあそんなお淋しいお住いをなすって入らっしゃるのでしょう...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...源氏は物哀れな気持ちになって車を止めさせた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物哀れになった心持ちを源氏が昔の自分に書いて告げただけのことである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...あらゆるものから受ける印象が物哀れであったある日の昼ごろに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今までと反対に式場の静まりかえる気分は物哀れなものであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物哀れなお気持ちばかりがされた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物哀れな夫人の心には忍び余る愁(うれ)いの生じるのも無理でない...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...同時に物哀れな光景であったことと思う...
柳田国男 「年中行事覚書」
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