...恐らくは鼻の穴も燻ぶつてゐることだらう...
種田山頭火 「其中日記」
...草深い田舎にこの年まで燻ぶらせているかと思うと...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...停車場の燻ぶつた車庫や...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...榾が燻ぶつて青い烟が天井をめぐる...
長塚節 「鉛筆日抄」
...今日こんなに郷里へ燻ぶつて束縛されて居るのも其時の祟りがあるのである』若い醫者は一寸口を噤んで碗の底に吸ひ殘した汁粉の汁を右の手から啜つて妙な手つきで左の手で箸を持つて冷たくなつた餅を噛つた...
長塚節 「開業醫」
...居るも居る三日三晩ばかり燻ぶしたがとう/\出ない...
長塚節 「才丸行き」
...一人の老人は顏を地面へ擦りつけるやうにして燻ぶる火を吹いて居る...
長塚節 「彌彦山」
...壁の間の詰物に移って燻ぶりだしたが...
久生十蘭 「我が家の楽園」
......
槇村浩 「間島パルチザンの歌」
...けれど私は臆病な空想勝ちな燻ぶり返った一人のセルロイド職工に過ぎない...
松永延造 「職工と微笑」
...吸殻は黄色く燻ぶっていた...
松本泰 「日蔭の街」
...何も爲(せ)ずに室に燻ぶり込むでゐるだけであツた...
三島霜川 「平民の娘」
...久しく家に燻ぶつてゐたので...
水野仙子 「散歩」
...黒く燻ぶった軒に白い耳の短かい兎は...
水野葉舟 「帰途」
...その遺風として『袖中抄』の成った平安朝の末頃まで田舎で蚕室の掃き初(ぞ)め式の帚に小松を添えて鼠どもグズグズいわば燻ぶるぞと脅かしたのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...長崎では詰まらぬ商人(あきんど)宿に燻ぶっている狐鼠狐鼠(こそこそ)仲買に過ぎなかった...
夢野久作 「名娼満月」
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