...燻(いぶ)した鯉...
芥川龍之介 「南京の基督」
...然(しか)らざる時は赤っちゃけて燻(くすぶ)っていたとの事である...
W・S・モーゼス William Stainton Moses 浅野和三郎訳 「霊訓」
...粗朶(そだ)がぶしぶしと燻(い)ぶるその向座(むこうざ)には...
有島武郎 「カインの末裔」
...妙に燻(くす)んだ顔をして胡坐(あぐら)を掻いてゐた...
石川啄木 「鳥影」
...燻銀の微光澱める...
上里春生 「サガニー耕地より」
...エスキモーの燻製など...
海野十三 「共軛回転弾」
...盛合わせ皿には、燻製の鮭、パン片に塗りつけたキャビア、鮒の串焼、黄いろい生雲丹、ラドッシュ...
海野十三 「地獄の使者」
...何か惨(みじ)めな生活の垢(あか)といったものをしみ込ませたような燻(くす)んだ...
高見順 「如何なる星の下に」
...それじゃ家に燻(くす)ぶっちゃいられないわけだね...
徳田秋声 「挿話」
...榾が燻ぶつて青い烟が天井をめぐる...
長塚節 「鉛筆日抄」
...この通り燻(いぶ)したように真っ黒になっている」「…………」「あの婆やは石見銀山(いわみぎんざん)で毒害されたんだよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...線香をもう一と掴み燻(くゆ)らし...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...どこの鼠が猫の子を捕つたんだ」錢形平次――江戸開府以來と言はれた捕物の名人平次は相變らず貧乏臭い長屋に燻(くす)ぶつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...警察部長はまったく魔法使みたいな男で、事の次第を聞くや否や、即座に、エナメル塗りの大長靴をはいた小柄できびきびした巡査部長を呼びつけて、その耳へ口を寄せて、何か二言三言ささやいてから『分ったね?』とつけ加えただけであったが、それでもう、来客がヴィストに夢中になっている間に、別室のテーブルの上には、大蝶鮫や、魚や、鮭や、塩漬のイクラや、薄塩のイクラや、鰊や、小蝶鮫や、チーズや、燻製の舌や、乾魚などが堆(うずた)かく並べられた――いずれも魚市場から徴発して来たものだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...煙草を燻らしたりしてから...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...あの日台所で燻い竈の前にかがみ...
宮本百合子 「明日をつくる力」
...白玉(はくぎょく)と青玉(せいぎょく)で蓮の花の形にした幾つかの小香炉(こうろ)には蜂蜜(はちみつ)の甘い香を退(の)けた荷葉香(かようこう)が燻(く)べられてある...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...逢つて煙草の煙りで燻べてみよう...
横光利一 「火の点いた煙草」
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