...悠々と鴉片(あへん)を燻(くゆ)らせている! 迫った額...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...燃え去つた炉の柴を燻(く)べる...
石川啄木 「赤痢」
...燻籠(ふせご)の匂ひのみ肅(しめ)やかなるぞ憐(あは)れなる...
高山樗牛 「瀧口入道」
...情熱に燻蒸(くんじょう)すると...
野村胡堂 「江戸の火術」
...お先煙草を立て續けに燻(くゆら)してゐるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鉄拐仙人(てっかいせんにん)のように粉煙草の煙を不精らしく燻(ふか)すのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...空までが桃色に燻(くん)じたある日のことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まだ余熱を燻らしてゐて...
原民喜 「夏の花」
...田中氏は窓際の机に凭って朝食後の煙草を燻(くゆら)して...
原民喜 「蠅」
...警察部長はまったく魔法使みたいな男で、事の次第を聞くや否や、即座に、エナメル塗りの大長靴をはいた小柄できびきびした巡査部長を呼びつけて、その耳へ口を寄せて、何か二言三言ささやいてから『分ったね?』とつけ加えただけであったが、それでもう、来客がヴィストに夢中になっている間に、別室のテーブルの上には、大蝶鮫や、魚や、鮭や、塩漬のイクラや、薄塩のイクラや、鰊や、小蝶鮫や、チーズや、燻製の舌や、乾魚などが堆(うずた)かく並べられた――いずれも魚市場から徴発して来たものだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...煙草を燻らしたりしてから...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...豐熟した穀物や燻(くす)んだ森...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...從つて顏の色が燻(くす)む...
三島霜川 「平民の娘」
...とどまる者はせんなく煙草を燻ゆらせる束の間に...
三好達治 「測量船」
...この類の皿を見ればいずれも黒く燻(いぶ)って日々働いた歴史が読める...
柳宗悦 「工藝の道」
...老人の群がら燻り出した線香の煙が栗の幹のまわりで輪を解いていた...
横光利一 「旅愁」
...石炭を燻(く)べても燻(く)べても容易に温まらない部屋の中で僕はしみじみと東京の家を恋しいと思つて居た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...まつたくの燻し出しだ」と言ひながら我等は膳をつきやつてまた草鞋を履いた...
若山牧水 「木枯紀行」
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