...少し反身(そりみ)に煙草(たばこ)を燻(ふ)かしながらニヤリニヤリして...
内田魯庵 「斎藤緑雨」
...第二番が璧州(ぺきしゅう)の鼠(ねずみ)の子の燻製...
海野十三 「共軛回転弾」
...博士は燻製のカンガルーを喰べることに夢中になっている...
海野十三 「共軛回転弾」
...其れに一束の線香が燻つてゐた...
高浜虚子 「落葉降る下にて」
...起きて線香でも火鉢の中に燻(く)べておこうと思いながらそれすらも私にはもうでき得なかった...
橘外男 「逗子物語」
...木(き)の根(ね)が燻(くす)ぶつていつでも青(あを)い煙(けむり)が少(すこ)しづゝ立(た)つて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...其處(そこ)には此(これ)も褞袍(どてら)を被(はお)つた彼等(かれら)の伴侶(なかま)が圍爐裏(ゐろり)へ麁朶(そだ)を燻(く)べて暖(あたゝ)まりながら待(ま)つて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...先生はこの燻(くす)ぶり返った家の書斎に這入(はい)ったなり滅多(めった)に外へ出た事がない...
夏目漱石 「ケーベル先生」
...そう多量に受け入れる事のできない至って燻(くす)ぶった性質(たち)なのだが...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...超自然の行為は主として祈りおよび犠牲(いけにえ)を伴い、燻蒸の中で、身体、魂から盗まれたものを戻す、魔神を捕まえ縛り破壊することを示す魔除けおよびシンボル操作である...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...富岡は安南人の宗教と燻香(くんかう)には...
林芙美子 「浮雲」
...絶えて変化のない一同の食糧だった乾麺麭(ビスクィート)と燻製の鰊(にしん)を取り出して単調な朝の食事を始めた...
久生十蘭 「地底獣国」
...プスリプスリと燻(いぶ)るような気(きえん)を吐いて...
二葉亭四迷 「平凡」
...それはちやうどぶすぶすと燻つてゐる煙硝のやうなものを無理に蓋してゐるやうな工合だつた...
北條民雄 「道化芝居」
...あの日台所で燻い竈の前にかがみ...
宮本百合子 「明日をつくる力」
...烟草(タバコ)燻(くゆ)らすほどに...
森鴎外 「文づかひ」
...朝鮮人蔘(にんじん)の燻製(くんせい)のやうな手...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...幾ヵ所かに燻(くすぶ)っていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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