...一旦大作を企つべき機縁が熟したと思つたら...
芥川龍之介 「雑筆」
...考への本當に熟した時に熟果の墜ちるやうに文章をポトリ/\とおとして行くこと――何と云ふ樂しい生活の夢だらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...健康で成熟した婦人が自然の要求を否定し自分の最も痛切な欲求を抑制し...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「結婚と恋愛」
...小苑が紅熟した桜桃(さくらんぼ)をつまんで食べる時には...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...枝といふ枝には紅熟した実が鈴なりになつてゐた...
薄田泣菫 「独楽園」
...」私は黄熟したザボンの一つを掌面に載せたまま...
薄田泣菫 「独楽園」
...より成熟した黄金の秋の色を添えただけである...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...酒乱清算の機縁が熟したと思ふ(私の場合では酒乱といふよりも酒狂といふべきだらう)...
種田山頭火 「其中日記」
...打渡した稲は黄(きいろ)く熟した...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...葡萄の房は充ち滿ちて實は皆黒く熟したり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...黴(かび)や、熟した果実や、涼しい影や、日に暖まった樹脂(やに)多い木立、などの匂(にお)いがしていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...アメリカは工業機構が成熟したしるしとして...
中井正一 「美学入門」
...熟した麺麭の果(み)が沢山地上に落ち...
中島敦 「環礁」
...成熟した他人の思想としてしか見えないのだ……「そういう考え方はそれはそれとして肯(うなず)けるようだけれど...
堀辰雄 「菜穂子」
...しかし年の割には成熟した輪郭を持った人で...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「幸福への意志」
...やはり南国の太陽の下に成熟したらしい...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...まるで熟した苹果のあかしのやうにうつくしくかがやいて見えました...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...いよいよ果実が熟した時それがいい味を持っていなくても...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??