...天下動乱の機は、既に熟したる也...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...小さい笑窪(えくぼ)のある両頬(りょうほお)なども熟した杏(あんず)のようにまるまるしている...
芥川龍之介 「点鬼簿」
...熟した麥の香が、暗い夜路に漂うてゐる...
石川啄木 「鳥影」
...しかし近頃それがしの宮殿下が我々の夥伴(なかま)を召されて浅からぬ御寵愛を忝ふするは我々の世の中に出る機運が熟したんだね...
内田魯庵 「犬物語」
...曾(かつ)て知っていたミチミとは別の成熟した若い女が...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...八度二分ほど発熟したことである...
谷崎潤一郎 「鍵」
...酒乱清算の機縁が熟したと思ふ(私の場合では酒乱といふよりも酒狂といふべきだらう)...
種田山頭火 「其中日記」
...熟した果実を孕(はら)んでる妊婦の...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...アメリカは工業機構が成熟したしるしとして...
中井正一 「美学入門」
...といってもこれは熟した語ではない...
新渡戸稲造 「イエスキリストの友誼」
...猪股氏は熟したトマトのようにまっ赤になって...
久生十蘭 「キャラコさん」
...そこにはもう圓熟した物語作者がゐる...
堀辰雄 「黒髮山」
...期が熟したとなれば祭の晩を待たずとも...
牧野信一 「鬼涙村」
...夏に実の赤熟したときには既に葉が落ち去って木が裸だから夏坊主ともいわれる...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...またその色をエビ色というのはこれらブドウの実の熟した色に象(かた)どったものである...
牧野富太郎 「植物記」
...漸く萌し漸く熟したのは...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...モンテーニュはアルセストの円熟した姿である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...孫権はまた、その報を手にするや、時を移さず呂蒙を招いて、「機は熟した...
吉川英治 「三国志」
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