...無智貧困の者の霊性が問題とされた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ほんたうにお前は気の毒なほど新らしい無智を食べてゐる...
大手拓次 「藍色の蟇」
...哲学者は初めから自分の脳力だけは絶対に完全であるものと認定し、思弁的に宇宙の真理を看破しつくそうと頸をひねって、大脳の発育変遷というごときことには全く心付きもせぬようであるが、諸動物の大脳を比較し、人間の大脳の進化の経路を探り求め、これに照らして人類全体を総括し考えてみると、無智の迷信者も、有名な哲学者も、実は五十歩百歩の間柄で、その間にいちじるしい相違があるには違いないが、同一の先祖から起こって、同一の方向に進みきたり、なお今後もさらに先へ進もうとする途中にあることゆえ、絶対に完全なものでないという点においてはいずれも同じである...
丘浅次郎 「脳髄の進化」
...無智ではあるが、やはり永く山奥に住んでゐるおかげで、何か仙術みたいなものを覚え込んでゐたのかも知れない...
太宰治 「お伽草紙」
...あんな無智な百姓女ふぜいに...
太宰治 「駈込み訴え」
...好人物で無智で狡猾の逸話的存在でしかなかったわね――私ったら地主ののら息子が引張って行った...
戸田豊子 「歩む」
...猫の無智を軽蔑することにはならず...
豊島与志雄 「未亡人」
...さうして獸のやうに無智で純眞な心をもつてる...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...美貌ではあったが無智だったという...
長谷川伸 「幽霊を見る人を見る」
...虚飾、追従、阿諛、狡猾、因循、愚鈍、冷汗、無智、無能――それぞれ、かういふ名前のついた糸に操られて、手を動かし、脚を投げ、首を振り、眼玉を動かし、口を歪める操り人形に自らを譬へずには居られなかつた...
牧野信一 「或る日の運動」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...無智な婦人の労力を土台にして...
宮本百合子 「現実に立って」
...もつと卑屈なズルい耻知らずの無智な動物は...
三好十郎 「肌の匂い」
...翡翠(かわせみ)の無智浅慮(むちせんりょ)は誠(まこと)に憫(あわれ)むに堪(た)えざるものがある...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...無智なナンセンスと...
吉川英治 「折々の記」
...ふた口めにゃ洋学をふり廻しやがって、おれたちのことを頭脳(あたま)が古いの、無智だの、時勢遅れだのとほざくじゃねえか...
吉川英治 「銀河まつり」
...――自分の有智(うち)、無智、悪行、善行、職業、骨肉、すべての碍障(げしょう)に阻(はば)められず、ひたすら、仏光に向って、一念十念、称名(しょうみょう)あること浄土の一歩にて候ぞや」――何事が起ったのか、その時後ろの方で、がやがや騒ぎだす者があって、「え、文覚(もんがく)が」「文覚が、どうしたと?」「行ってみい、行って見い」崩れだして、十人、二十人ずつ、わらわらと四条の方へ、駈け降りて行った...
吉川英治 「親鸞」
...人生については全く無智な子供に過ぎなかった...
渡辺温 「絵姿」
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