...水月は漸くハンケチを擴げて眺めながら這入つて來る...
高濱虚子 「俳諧師」
...弘治三年の秋に及んで漸く河内介は父の館へ帰ることを許された...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...漸くまあ婚礼がすんだ...
徳田秋声 「躯」
...母に漸く追つ払つて貰つた弟が...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...閣下の内閣が近時漸く動搖し始めたるは疑ひもなき事實にして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...漸くに叩き落してやった...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...大雨で水嵩(みずかさ)が増して行くように緩慢に似て漸く強大である...
中里介山 「大菩薩峠」
...漸く和解が成立した...
中島敦 「南島譚」
...船體が漸く動搖し始めた...
長塚節 「佐渡が島」
...此間の翻訳を漸くの事で月末迄に片付けたら...
夏目漱石 「それから」
...漸く人間らしくなったことは言う迄もありません...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...漸く足を踏み止(とゞ)めました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...漸く順番が来て加療が済むと...
原民喜 「夏の花」
...我は本日漸くこれを得たり...
平出修 「逆徒」
...日昇れど何の響きもなき如し夏の終りの向日葵の花人の漸く老いて好刺戟あれども何の反応も示さなくなつた様子を象徴するものであらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...「活動のロッパ」も漸くカットすべき個所が分り...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...漸くに買い取った幸福がありとすれば...
松永延造 「ラ氏の笛」
...コルテスが漸くメキシコに帰着したのは一五二六年の五月末である...
和辻哲郎 「鎖国」
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