...俺は持てる者の必然の流出は唯與へることにあることが漸く心の底からのみこめて來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...同業者の消息も漸く判つて來た...
伊藤左千夫 「水害雜録」
...漸く驛遞の家に着いたので...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...漸くその書留郵便を終ると...
高浜虚子 「丸の内」
...その動かない舟を漸くに押し動かして...
田山録弥 「ある日の印旛沼」
...父は漸く独立を許され...
外村繁 「澪標」
...自由党も亦漸く彼れを敬して遠け...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...山茶花落ちて風漸く寒し...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...彼女は漸く何だか嬉しくなつた...
中原中也 「蜻蛉」
...僕は漸く起ち上った...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...八」平次は漸く八五郎の懸河(けんが)の達弁(たつべん)を封じました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...茂兵衛 (漸く立ちあがり)もし...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...山村に取り縋らんばかりにして漸く二度目を伴れて行つて貰つたのだつた...
牧野信一 「妄想患者」
...我邦諸州の田面に普通で秋に種子から生じ早春に漸く繁茂し...
牧野富太郎 「植物記」
...こうしてとにかく一時待合までやって漸く凌いで来たのち...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...漸く大正の終り頃であるから...
柳宗悦 「京都の朝市」
...漸く遅き青春と遊蕩の気生ず...
吉川英治 「年譜」
...漸く私にも眼を開いて四方の遠望を樂しむ餘裕が出て來た...
若山牧水 「樹木とその葉」
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