...漸く微(かすか)な声で...
芥川龍之介 「忠義」
...漸く水草を切払って...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...漸く西村氏に泊す...
関寛 「関牧塲創業記事」
...こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行に疲れた神經と肉體とをゆつくり休めることが出來たのは仕合せであつた...
寺田寅彦 「伊香保」
...母に漸く追つ払つて貰つた弟が...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...「文学と生活が漸く一致し来りたるを覚ゆ...
豊島与志雄 「十一谷義三郎を語る」
...漸く帰りかけると...
豊島与志雄 「反抗」
...路平らかにして景勝漸く佳なり...
長塚節 「草津行」
...私は足が痺れたので漸く便所を出た...
長塚節 「隣室の客」
...漸く重大なものを感じた樣子でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...作者も漸く成長してこれ許りの余裕が出来たわけだ...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...そしてその頃から彼は漸く彼の意識的藝術活動そのものをも棄て去つて行つたやうに見える...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...自分の前に漸く展かれだした人生はいかに味氣ないものに見えたことであらう...
堀辰雄 「姨捨記」
...我邦諸州の田面に普通で秋に種子から生じ早春に漸く繁茂し...
牧野富太郎 「植物記」
...後漸く自然の妙趣を感じ造化の色彩を見るに及んで...
正岡子規 「病牀譫語」
...其處の谷でかね……』爺さんの聲も漸く落ちついて來た...
若山牧水 「樹木とその葉」
...止むなく滯在ときめて漸くいゝ氣持に醉ひかけて來ると...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...漸く正午に近い頃であった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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