...漸く海抜三千百二十米突の天上につく...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...十分間程も咳き入つた末漸く靜まる...
高濱虚子 「俳諧師」
...漸く下足預かり所に行って上草履にかえる...
高浜虚子 「丸の内」
...漸く下へ降りて行かしてから眠りに就いた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...况んや是れと同時に第三者に對する外交關係漸く過敏ならむとしたるに於てをや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...蓋し進歩派の勢力次第に膨脹して自由派の分子までも漸く進歩化するの傾向ありと認め憲政黨内閣の維持一日を長うすれば獨り進歩派の爲めに一日の利あるを恐れて...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...雨漸く晴れしが風吹き出で夜に入りあらし模様となる...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...為に婦人雑誌を購読して漸くその意を審(つまびら)かにするを得たり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...それでも漸く安堵したやうに...
中島敦 「環礁」
...歓楽が漸く酣(たけなわ)になろうと言う時...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...その敵の名前や顏が解つてゐるのかな」平次は漸く積極的になりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お咲は漸く戸を開けてくれました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...漸く普羅句集の基礎は出来た...
前田普羅 「普羅句集」
...その漸く長ずるに及んでかへつて早く北条氏のために嫉(ねた)まれ終に刺客の手に斃(たお)れしなり...
正岡子規 「病牀譫語」
...長ずるに随つて漸く切になつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...雑器のよき歴史が漸く傾き始めて...
柳宗悦 「雑器の美」
...漸く傾きかけてきた手漉紙の崩潰を未然に防ぐことも出来よう...
柳宗悦 「和紙の教へ」
...翌日漸くその上陸を許した時には...
和辻哲郎 「鎖国」
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