...薄甘い匂(におい)を漂わせていた...
芥川龍之介 「神神の微笑」
...冴え返る食堂車の中にかすかな匂を漂わせている...
芥川龍之介 「西郷隆盛」
...そしてなんともいいあらわせないような不安な色を漂わせて...
海野十三 「深夜の市長」
...そのままわずかに二秒ほども遠火のように漂わせて...
大阪圭吉 「灯台鬼」
...匂(かぐ)わしい気品と香気とを漂わせているのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...おまけに背後の杉の森が天日を遮(さえぎ)って真っ暗に被(かぶ)さってその陰惨なこと――前に私は家屋全体が陰気な暗さを漂わせていると言いましたが...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...頂上にただあるかなしの白い煙を漂わせているだけであった...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...そして柔かな温気を漂わせている...
豊島与志雄 「朝やけ」
...顔に笑みを漂わせていました...
豊島与志雄 「沼のほとり」
...絶望の色を漂わせていないものはありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...たくまずして七分は滑稽味を漂わせている...
中里介山 「大菩薩峠」
...地獄めいた凄気を漂わせている...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...頬のあたりがもう中年の仇(あだ)めかしさを漂わせて...
林芙美子 「晩菊」
...屍体の上に無意味なる視線を漂わせているのだった...
久生十蘭 「魔都」
...しかもその何処かにすこしく悲愴(ひそう)な懐古的気分を漂わせている...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...桃花村のある島の向うに眼を漂わせていた...
室生犀星 「みずうみ」
...そこらへ漂わせて...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...妖(あや)しいまで古色にみちた息吹きを漂わせている...
吉川英治 「随筆 新平家」
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