...十年壁に面して涙を滾してゐた處で冷かな壁は一歩でも道を開いて呉れ相にもない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...僅かこればかりの滾(こぼ)れ残ったような金貨だの宝石なのでしょうか」と大江山課長は不審(ふしん)げに云った...
海野十三 「恐怖の口笛」
...よく滾(たぎ)っておりますから」と亭主はやっと諦めて座を立ち掛けたが...
橘外男 「逗子物語」
...滾々(こん/\)として湧(わ)いて出(で)た...
夏目漱石 「門」
...滾(たぎ)りたつ激流をいくつか泳ぎわたり...
久生十蘭 「新西遊記」
...悲痛の涙は滾々(こんこん)として千載に尽くることなく...
穂積陳重 「法窓夜話」
...あの汲めども汲めども盡きずに滾々と涌きあがつてくるやうな詩句の豐かさは...
堀辰雄 「「古代感愛集」讀後」
...見る間に涙がほろほろと頬を滾(まろ)び落ちて来ました...
牧野信一 「お父さんのお寝坊」
...何を斯んなところで有りがた涙を滾してゐるんです?」七郎丸が私を促すのであつた...
牧野信一 「酒盗人」
...さかんにもがくために砂がばら/\と滾れ落ちて僕の襟首へ降り込んで来るし...
牧野信一 「女優」
...聞くところに依ると近頃では阿母が兄貴の前で涙を滾して...
牧野信一 「スプリングコート」
...虹の光茫に打たれながら永遠の夢に向つて涙を滾してゐる詩人の...
牧野信一 「卓上演説」
...「贅沢な愚痴を滾すな...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...戯れるやうに砕けてさんさんと噴き滾れてゐた...
牧野信一 「毒気」
...俺は恋の経験もないと滾(こぼ)したこともあつたが...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...その時叔父の頬にポロ/\と涙が滾れてゐるのを見て...
牧野信一 「白明」
...彼は畳を叩いて非常に憤激して終ひには涙を滾した...
牧野信一 「文学的自叙伝」
...滾(こぼ)れるような魅惑の線が...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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