...やがて芳芬(ほうふん)の激しい薬滴が布の上にたらされた...
有島武郎 「或る女」
...一滴も飲む水はない(楽人たちエイフア! エイフア! と叫び銅鑼を鳴らす)青年あの叫び声は何か山々に沿うて聞えるあの物音は楯に剣をぶつけてゐるのは誰だらう老人あの女は山国の強い女たち...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「鷹の井戸(一幕)」
...巖の中より滴るしづく、滴り/\て、凍りて大氷柱をなし、小龕をかこみて、白玲瓏たり...
大町桂月 「冬の榛名山」
...小生の教えた男なるが今度作文の本を作るとかにて『墨汁一滴』のなかを二、三滴、君の文を一篇、僕の「猫」を一頁ほどもらいたいと申してきたり...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...人間の血の滴る肌にもメスを当てゝ顧みないといふ意気だの...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...褐色の羽子に雨滴がたまっている...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...ぴしや/\と飛沫(しぶき)の泥(どろ)を蹴(け)りつゝ粟幹(あはがら)の檐(のき)からも雪(ゆき)の解(と)けて滴(したゝ)る勢(いきほ)ひのいゝ雨垂(あまだれ)が止(や)まないで夜(よる)に成(な)つた...
長塚節 「土」
...雨滴は微塵に粉砕されて...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...この過冷却水滴が氷のついた固体表面に衝突すると...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...彼はただ筆の先に滴(したた)る面白い気分に駆られた...
夏目漱石 「道草」
...ことに先刻(さっき)の無念にはらはらと流した一滴の紅涙(こうるい)のあとだから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...唇の婀娜(あだ)めかしさは滴るばかり...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...くれなゐの色滴らむばかりなる...
萩原朔太郎 「花あやめ」
...私は元来一滴も酒を口にしない上...
浜尾四郎 「途上の犯人」
...だらりと垂れた割合に大きい耳から雫(しずく)を滴(たら)し...
二葉亭四迷 「平凡」
...思わず一滴の涙を浮めぬ...
宮崎湖処子 「空屋」
...額からポタポタと生汗(なまあせ)を滴(た)らしながら大きく大きく眼を瞠(みは)った...
夢野久作 「鉄鎚」
...それを滴水はニヤ/\笑つてながめてゐたといふんです...
吉川英治 「折々の記」
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