...胸苦しいほど不思議の香がした...
レミ・ドゥ・グルモン Remy de Gourmont 上田敏訳 「わるい花」
...それぞれ自分達の身うちに熱病やみのやうな胸苦しい動悸を覚えながらも...
薄田泣菫 「独楽園」
...完全に意識失うてたのんは半日ぐらいの間らしいて、その晩の八時頃にはときどき眼エ開(あ)いてあたりキョロキョロ見廻したりし出したいうこと、あとで聞きましたのんですが、私自身ではその後二、三日ちゅうもん一つもハッキリした記憶ないのんで、……何やこう、頭抑(おさ)えつけられるような、胸苦しい、ムカムカ吐き気するような感覚が、枕もとに据わってる夫の姿とごちゃごちゃに幻影みたいに眼エに映ってて、つまりその間が数限りもない夢の連続になってますねん...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...道も岩膚も山並みも濡れて真暗でじつに胸苦しい思いがし...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...胸苦しいような思いでいなければならぬのが...
徳田秋声 「新世帯」
...胸苦しいようなふうだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼は益々胸苦しい気分になっていった...
豊島与志雄 「反抗」
...ただ胸苦しい悲しい甘い心地に沈み込んで...
豊島与志雄 「父母に対する私情」
...にわかに胸苦しいある物のために襲われた余は...
夏目漱石 「思い出す事など」
...車内に漂っている人いきれや煙草のにおいを胸苦しい位に感じ出した...
堀辰雄 「菜穂子」
...なんとなく胸苦しいような雰囲気のなかに暮しだした...
堀辰雄 「楡の家」
...胸苦しいほどの切ない嬉しさに打たれるだけだつた...
牧野信一 「ダイアナの馬」
...雪之丞には却って胸苦しい...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...志保は胸苦しいほどの思いでそう念じた...
山本周五郎 「菊屋敷」
...頽廃の極が積み重なり一種の胸苦しい厚みを泛べ...
横光利一 「北京と巴里(覚書)」
...そして呼吸すべき空氣がそんなふうに立ち塞がれたのを見るのは胸苦しいことであつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...また胸苦しい沈黙がつづきそうになる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...胸苦しいかたまりは...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索