...「大溝(おほどぶ)」は今日(こんにち)の本所(ほんじよ)にはない...
芥川龍之介 「本所両国」
...この貸本屋の裏の溝が流れ込んだ筈(はず)の横川などは跡も見えない...
泉鏡花 「薄紅梅」
...溝は七まがりと迂曲(うきょく)している...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...子供の頃大川と思つてゐた郷里の川が、今歸省してみると、溝であつたり、欝蒼として晝尚暗い深山で何か飛び出しはせまいかと思つてゐた山は今みると大木は伐り去られて、山の地肌が見え、一息に馳け上られさうな小山に變つてゐたりする...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...その溝のあたりに靴の跡らしきものがないことから確信できます...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「ライギット・パズル」
...横溝氏、大下宇陀児氏らの近作から、私はそうした停滞を感ぜずにはいられない...
十返肇 「日本推理小説の曲り角」
...――こういうものでできている悪臭ふんぷんたる溝(どぶ)泥みたいなものなのだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...(鉄砲だ)と人々は、ぎょっとすると共に、窓を開けたり、跣足のまま走って出たり――往来の人々は、音のする方を眺めて――新らしい橋の橋外の柳の木の辺に、行列の人数の乱れているのを見ると共に――小僧は徳利を小脇にかかえて、溝沿いに、恐る恐る走ると、侍は刀を押えて、町人は顔色を変えて、走り出した...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...采女橋を渡り水に沿うて歩めば月中溝渠の景いよ/\好し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...わたくしには鉄漿溝(おはぐろどぶ)の埋められなかった昔の吉原を思出させる...
永井荷風 「寺じまの記」
...溝に添うて滑(すべ)らせる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...溝口屋の裏に住んで見る影もなく生きてゐる馬吉だつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...神田区上町との間に流れる溝(どぶ)川の河岸についた...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...うつ伏せに溝に墜ちたものや...
原民喜 「鎮魂歌」
...……『船松』の横の溝でさむらいが死んでいたのを見たとき...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...門の前の溝は連日のひでりに底が乾いて...
松本泰 「秘められたる挿話」
...「こう云(い)う溝は水の出るたんびにだんだん深(ふか)くなるばかりです...
宮沢賢治 「イギリス海岸」
...江戸は何処だい」「溝店(どぶだな)」「溝店だ? ……へええ...
吉川英治 「江戸三国志」
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