...いつもの渋いように顔をくずして笑いながら...
有島武郎 「或る女」
...四十一と、突立(つッた)ったまま、苦(にが)い顔、渋い顔、切ない顔、甘い顔、酔って呆(ぼ)けた青い顔をしていた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...結局渋(しぶ)りながら正文の手もとから金が出た...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...自転車も難渋(なんじゅう)しながら進んだ...
壺井栄 「二十四の瞳」
...難渋な人々や気の毒な人々を善導して明るくしてやらなければならない...
豊島与志雄 「ヒロシマの声」
...下渋谷に住んでいる友人が愛児を失ったという報知に接してA君と二人して弔辞を述べに行った...
永井荷風 「写況雑記」
...それから、鎧櫃(よろいびつ)へ納めようとして、一応鎧櫃の中を探ってみると、勇仙が手に触れた一冊の古びた書物を探り出し、妙に眼をかがやかして、それを二三枚繰って見たが、ニヤニヤと笑って、仏頂寺の眼の前につきつけ、「まだ一くさり残っていた」仏頂寺が、その冊子をのぞいて、渋々と手に取り、「は、は、は、これこれ、これはまた古来、軍陣中無くてはならぬ一物となっている」二人は額をつき合わせて、この書物を見ながらしきりに笑っている...
中里介山 「大菩薩峠」
...渋るのを無理に口説き落して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お目にかかりたいと思っておりました」老人は甘味(あまみ)も渋味(しぶみ)もない声で...
久生十蘭 「西林図」
...そんながらくたをいじくりまわしているんです? 渋谷の生活とちがうんですから...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...私宅の門前に於(おい)て難渋者共に戴かせます積りですと云(い)うような乱暴な激論で...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...渋谷の二葉亭へ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...渋谷のふたば亭へ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...宮にさし出す事に渋々納得した...
堀辰雄 「姨捨」
...所々に榛軒柏軒の二子及渋江抽斎...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...恐ろしいほど渋い顔をし...
山本周五郎 「似而非物語」
...私の渋谷の館(たち)へお泊りください」「御好意に甘えよう...
吉川英治 「平の将門」
...「――渋沢の奴、何でも、田舎でがらにもない皇学を囓(かじ)ったり、また、それを、流行(はやり)ものの、勤王運動とやらの実行に移そうとして、八州(はっしゅう)に嗅(か)ぎつけられ、それで、ご当家の、平岡円四郎殿へ、縁故をもって縋(すが)って、隠れているのだという風評がある、――これあ、如才なく、吾々(われわれ)に、渡りをつけて来たのだろう」「すると、匿(かくま)い料(りょう)か」「ま、そうと、俺は見る」「じゃ、ありったけ、飲んでもいいな」「飲みきれるものか」「何、これだけの頭数で、費(つか)いきれんでどうする、辰巳(たつみ)へゆこう」それから、はしゃぎ出したのである...
吉川英治 「松のや露八」
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