...とても清楚な趣きを示しているのであった...
上村松園 「車中有感」
...要するにたゞ清楚な木材と清楚な壁とを以て一つの凹んだ空間を仕切り...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...蕎麦の花がしろ/″\と咲いてゐる、清楚な花だ、コスモスが赤く或は白く咲きいでゝ揺れてゐる、可憐な花である...
種田山頭火 「其中日記」
...上空から次第に拭ひ去られた雲は僅かに比叡と比良の頂に白紗を纏ふたごとく殘つてゐたが、正午ごろになつて太陽の光が一層強くなつてくると、やがて比叡の頭にも雲は消えてなくなり、船の北進するにつれて山の影は次第に淡く南に殘り、清楚な夏の姿は、さながら薄化粧を施したやうに緑の上を白く霞に包まれてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...それが如何にも主峰は主峰だけの威嚴を示してゐるかのやうで雲に隱れた部分は距離が遠いせゐか清楚な夏の色も暗緑色に掻き曇つて恐しさうな感情を與へてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...それに反して好く晴れた日の駒ヶ岳は清楚な感じがある...
近松秋江 「箱根の山々」
...山百合よりも清楚な感じで...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...かくの如く脆弱(ぜいじゃく)にして清楚なる家屋とかくの如く湿気に満ち変化に富める気候の中(うち)に棲息(せいそく)すれば...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...赤煉瓦の清楚な修道院の建物と――それ等が秋らしい靜かな色の調和を作つて快く私の瞳に沁み渡つた...
「修道院の秋」
...木造の格子などの清楚なる工合は...
濱田耕作 「埃及雜記」
...水色の清楚なオーバーを着たお嬢さんの後姿が何気なく僕の眼にとまつた...
原民喜 「火の子供」
...その挙動がどれほど清楚な情緒に充ち...
久生十蘭 「湖畔」
...線の細いエッチングか素描でも見ているような清楚な印象を受けた...
久生十蘭 「蝶の絵」
...……清楚なるもの...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...清楚な編竹(あみだけ)の垣をめぐらした柴門(さいもん)のほとりに...
吉川英治 「三国志」
...清楚な狩衣(かりぎぬ)に着かえ...
吉川英治 「私本太平記」
...清楚な趣があって...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...置き物を一つか二つに限った清楚な座敷をながめて...
和辻哲郎 「藤村の個性」
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