...いわば自分自身であがきのとれない深みにはいったようなもんじゃないか...
伊藤野枝 「転機」
...底知れぬ深みへと吸いこまれていった...
江戸川乱歩 「影男」
...それらの線の交叉するところに彼の性格の高みと深みとが存するであろう...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...朱泥のように深みのある...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...われわれは子供などに科学上の知識を教えている時にしばしば自分がなんの気もつかずに言っている常套(じょうとう)の事がらの奥の深みに隠れたあるものを指摘されて...
寺田寅彦 「案内者」
...春は吉野のあさぼらけこむる霞のくれなゐも遠目は紛ふ花の峯夏はラインの夕まぐれ流は遠く水清く映るも岸の深みどり汨羅の淵のさゞれなみ巫山の雲は消えぬれど猶搖落の秋の聲潮も氷る北洋の巖を照らすくれなゐは光しづまぬ夜半の日か...
土井晩翠 「天地有情」
...通常の条件では意識の表面に現われることの出来ない深みに動いている...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...それ今起こった! 要は一身のあらゆる深みから湧(わ)き出した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それからだん/\と深みへはまって行き...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...時にはまた蟹(かに)が鋏(はさみ)をあげて這(は)いよるのを匙(さじ)ですくって水のなかへ投げてやるとそのまま深みへはい込んでしまう...
中勘助 「島守」
...もつともつと深みがなくては不可(いけない)...
野口雨情 「札幌時代の石川啄木」
...その半(なか)ば開かれた不可思議な深みを測(はか)り得ぬうちに再び閉ぢられてしまふもの...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夜の深みにうなだれた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...その信頼から湧く歓喜の深みへ...
宮本百合子 「傷だらけの足」
...お言いになることが皆深みのあるものだった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ただ本体の深みをお探(さぐり)になるあなたとしては...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...弱き人間は自己の力を過信して知らず知らず海の深みに陥り...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それを払おうとして深みへ掠われた...
山本周五郎 「柳橋物語」
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