...皮肉らしい顏をした現實論者と共に人生の深みに對する感覺を失ふ事である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...踏み堅められない深みに落ちないように仁右衛門は先きに立って瀬踏みをしながら歩いた...
有島武郎 「カインの末裔」
...画としての深みに於て...
上村松園 「靄の彼方」
...聖心矢の根を深み...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...そして空の深みへ落ち込みかかってるかのように...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そして自分では気づかないでいる一種の深みに到達していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その深みに、彼はすっかり落着いて、美津枝に対しては幼な馴染みのような親しみを覚えました...
豊島与志雄 「白蛾」
...いつのまにか深みへ陥っている自分自身が...
豊島与志雄 「反抗」
...やゝともすると深みの足りない裏面を対照として却(かへつ)て思ひ出させる丈(だけ)である...
夏目漱石 「点頭録」
...下は闇と大きな深みであった...
早川鮎子 「穂高岳屏風岩にて」
...こういうわけで二人の関係に悪い深みがつき...
久生十蘭 「ハムレット」
...江戸川氏の作品を評して「とうてい外国人では描くことのできぬ東洋的な深みと色彩」とを強調しておられる...
平林初之輔 「『心理試験』を読む」
...「神にみ栄と誉れあれ! 空気の深みにすむ神の子等の安息日を見よ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「魚と蠅の祝日」
...夜の深みにうなだれた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...深みに動く人間になり度いものです...
宮本百合子 「動かされないと云う事」
...立体の深みがなく...
柳宗悦 「民藝四十年」
...伊吹の裾(すそ)はようやく春闌(はるた)けた早(さ)みどりの深みに駒鳥の高音(たかね)がやや肌さむいほどだった...
吉川英治 「私本太平記」
...ひとりこれらの鳥の聲だけは天地の深みに限りも知らず沈んでゐる...
若山牧水 「樹木とその葉」
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