...主任さんの態度は頗る淡々たるものであった...
「草藪」
...ありのままに淡々と語れば...
太宰治 「新釈諸国噺」
...淡々君を待つ、今日来庵の通知があつたので、――もう、日が暮れるのに来てくれない、待ちきれなくなつて、学校に樹明君を訪れる(今日は宿直なのだ)、病状すぐれないと見えて欠勤、Cへ行つて酒一杯(四日目のアルコール注入だ)、ほろ/\として帰つてくると来客、来客――淡々君、そして耕三君...
種田山頭火 「其中日記」
...又時には尋常茶飯事として淡々水の如く思はるゝやうなさうした矛盾した心理...
田山録弥 「生滅の心理」
...河から夜霧が淡々(あわあわ)立ち始めていたので歩行はあまり楽ではなかった...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「秘密の庭」
...淡々と書き進めた作品もあるけれど...
豊島与志雄 「小説集「山吹の花」後記」
...淋しげに淡々としていた...
豊島与志雄 「童貞」
...ここ、平湯で、平々淡々として、明るい気分の湯に浸っているのとは、周囲も、気分も、全然違い、ここへ来て見るとはじめて、たしかに白骨には何かいたという気分がしてならない...
中里介山 「大菩薩峠」
...淡々としたふうにいって...
長谷川時雨 「市川九女八」
...冷々淡々たる面持で花子の方に近づくと...
久生十蘭 「魔都」
...たゞ流れる水の如く淡々として...
牧野信一 「「尾花」を読みて」
...そして翌日出遇へば、淡々ではなく、云ひたいのだが云ふ言葉を知らないので、たゞ憤ツとして横を向くだけのことしか出来ない...
牧野信一 「貧しき日録」
...その芸風は淡々と手堅く...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...淡々とした話で終始していたのだが...
正宗白鳥 「弔辞(室生犀星)」
...ところが今になって、昨日なら溌剌たる衝動から、勇んでしたに違いないことを、一定の時刻に、淡々たる気持で、しかも集まった観衆の面前で、号令に応じてしなければならないことになった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...「――やっぱりな」「おらあ当直の軍医を呼んだだ」春さんは淡々とした口ぶりで続けた...
山本周五郎 「青べか物語」
...誰にもあり勝ちな飾り気の全く見えない――余りにも正直すぎるくらいな藤吉郎の淡々たる舌の音に...
吉川英治 「新書太閤記」
...殊に、宮枢の秘に触れ、天皇、上皇、妃嬪たちをも、一列の登場人物とみなして、淡々と、えがいてみたい希(ねが)いを伴っています...
吉川英治 「随筆 新平家」
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