...「ああ淋しい」を「あな淋し」といわねば満足されぬ心には...
石川啄木 「弓町より」
...彼の新居は池袋の駅から半里(はんみち)も隔(へだた)った淋しい場所に...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...殊にそれが船の場合だといつまでもその人の姿が目の底に残っていて淋しいものです...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...「燈台は淋しいですよ...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「歌う白骨」
...子供に欺かれたのが淋しいのではない...
太宰治 「葉」
...囘龍は淋しい処で一人の盗賊に止められて...
小泉八雲 田部隆次訳 「ろくろ首」
...夏の川野薔薇にほひて露散りて夕暮淋しいさゝ川心の空に消殘る昨日の春を忍ぶればいかに恨みむあゝ夏よ...
土井晩翠 「天地有情」
...老婢と二人の生活をさして淋しいとも思わず...
豊島与志雄 「父の形見」
...私はその淋しい春の松の内に...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...この淋しい京を、春寒(はるさむ)の宵(よい)に、とく走る汽車から会釈(えしゃく)なく振り落された余は、淋しいながら、寒いながら通らねばならぬ...
夏目漱石 「京に着ける夕」
...ツイぞっとするような心淋しい晩です...
野村胡堂 「悪人の娘」
...淋しい山岳地方のそれでなければいけなかったのだ……――夜の明けかかる頃...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...捨さんでも淋しいなんぞとおもふのかい...
堀辰雄 「ふるさとびと」
...現在に比べてそれがどの位淋しいものであつたかといふ事すら...
牧野信一 「喜びと悲しみの熱涙」
...いつも淋しい顔をして...
水野葉舟 「北国の人」
...街燈のない広い大通りは宵のうちから淋しいものね(ではまた)もうきょうは十一日...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あの淋しいような悲しいような微笑をなされながら...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...あたしだって淋しいわ」と...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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