...大方(おおかた)この段鼻も涼しいので東京へ出て来たのだろう...
芥川龍之介 「田端日記」
...……勿体なくも、路々(みちみち)拝んだ仏神の御名(みな)を忘れようとした処へ――花の梢が、低く靉靆(たなび)く……藁屋はずれに黒髪が見え、すらりと肩が浮いて、俯向(うつむ)いて出たその娘が、桃に立ちざまに、目を涼しく、と小戻(こもどり)をしようとして、幹がくれに密(そ)と覗いて、此方(こなた)をば熟(じっ)と視(み)る時、俯目(ふしめ)になった...
泉鏡花 「瓜の涙」
...涼しい解決? そうじゃない...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...徃きは涼しかつたが...
種田山頭火 「行乞記」
...従って審査委員自身は平気で涼しい顔をしていても...
寺田寅彦 「学位について」
...熱帯とも思われぬような涼しい風が吹いて船室(キャビン)の中も涼しかった...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...並木の影涼しきところ木の根に腰かけて憩(いこ)えば晴嵐(せいらん)梢を鳴らして衣に入る...
寺田寅彦 「東上記」
...何しろ涼しくって閑静でいい...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...涼しい風が絶えず窓の簾を動かしている...
永井荷風 「花火」
...滅相に安いので遂泊る氣になつて覗いて見ると涼し相な一間がある...
長塚節 「須磨明石」
...涼しい風が吹いた...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...明け放した正面から窓の方へ流れてくる涼しい風に吹かれながら...
南部修太郎 「疑惑」
...涼しい...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...大そう江戸前に涼しかつたことを忘れないが...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...殊にこの香ばしい涼しい匂いは酸液から来る匂いであるから...
正岡子規 「くだもの」
...水浴で涼しくなった効能は...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...きょうはやっと土用らしいからりとした暑さで、でも涼しいのね、台所で火をいじっても大して大汗になりませんから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...涼しげな楊柳(ようりゅう)の木蔭に...
吉川英治 「新・水滸伝」
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