...直径約十キロにわたって出没すること...
石川欣一 「比島投降記」
...この気むずかし屋の癇癪(かんしゃく)もちの動物的な汚れが浸みこんでいるように見える老人の周囲に出没するのは何も心から...
海野十三 「仲々死なぬ彼奴」
...ゲリラが出没する地帯へ俺たちは軍の貨車(トラック)に便乗して行った...
高見順 「いやな感じ」
...膝(ひざ)を没する泥濘道ではとてもおぼつかない」とまた思案をしたが...
近松秋江 「狂乱」
...方船はほとんど浪に没することさえあった...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...前岸に出没するの人影は後岸に立つ人の眼中には容易にこれを瞥見(べっけん)しうるがごとしといえども...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...未だに時々匪賊の出没する危険が去らないが...
豊島与志雄 「北支点描」
...人間の上に吹きすさむ風のために一社会が覆没することは...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その下は軟い粉雪が膝を没するくらいふんわりと積っている...
中谷宇吉郎 「大雪山二題」
...沈没する船でもあるのか...
火野葦平 「花と龍」
...こうした社会主義競走は楽しい!青ざめたバスチーユよ!失われた搾取の国境線の地平に没するところ濤は楽しい島々の礎石に寄せ北海の処女原を刻む断層の鋸目の隅に...
槇村浩 「獄内にてドイツの同志を思う歌」
...肋骨が一本々々めりこんで行ったのだ!)飢えた昔のアヂトを夢みながらむしょうに友がなつかしくなった太陽!―――赤い自画像の中に写しとった歓呼する焔は世界の乾板の上に出没する友の肖像を灼きつけたおゝ...
槇村浩 「青春」
...冬から春へかけては泥濘(でいねい)高下駄を没するほどで...
正岡子規 「病牀六尺」
...ドイツの潜水艦の出没する大西洋を無事に渡ってニューヨークに着きましたので...
三浦環 「お蝶夫人」
...ひらめく瓦斯燈(ガスとう)の明りとの間を出没する...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...暴徒の出没する危険区域を通過しなければならなかった...
横光利一 「上海」
...混雑した人中に羞しく身を没するようにして...
横光利一 「旅愁」
...近ごろ諸天狗が出没するという怪聞でしょう...
吉川英治 「源頼朝」
便利!手書き漢字入力検索