...成程一本のマッチの火は海松(みる)ふさや心太艸(てんぐさ)の散らかった中にさまざまの貝殻を照らし出していた...
芥川龍之介 「蜃気楼」
...中味を取って貝殻は惜気もなく投り出して了う...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...彼は藻抜けの殻をぐるりと廻して知らず知らず家路に著(つ)いた...
魯迅 井上紅梅訳 「白光」
...「敷島」の吸殻は三つほどあった...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...枳殻(きこく)邸とか申すものを見度候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...煙草の吸殻(すいがら)が捨ててある...
高見順 「いやな感じ」
...そう云えばあの灰皿にも煙草(たばこ)の吸殻が沢山あった...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...突然あの盛子が殻を破つたやうに顔を出すのであつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...もう舷側にはカキ殻が夥(おびただ)しく附着し...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...突きさした煙草の吸殻が葱(ねぎ)のように見えた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...農会はじめて米殻通帳を持つて...
原民喜 「小さな村」
...形いろどりのさまざまなさざれ石の貝殻(かいがら)...
柳田国男 「海上の道」
...その板の上には蠣(かき)の殻(から)を多くのせて...
柳田国男 「母の手毬歌」
...是は籾殻(もみがら)を出すので殻臼だなどと謂う説もあるが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...貝殻(かいがら)ばかりの岩の上を...
夢野久作 「瓶詰地獄」
...白ちやけた貝殻の大きなのが処々に打上げられてゐる...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...御返答高札下サルベク候月 日新免宮本武蔵政名「すぐ帰る」清十郎は文殻(ふみがら)をたもとへ突っ込むとそういって立ち上がった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...石材の状態と散乱具合は目くるめく時間の循環と残酷なる宇宙の地殻変動とを沈黙のうちに物語っていた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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