...――フランシス上人の後へついて、殊勝らしく、そこいらを見物して歩きながら、悪魔は、私(ひそか)にこんな事を考へて、独り会心の微笑をもらしてゐた...
芥川龍之介 「煙草と悪魔」
...平吉はその度に、医者から酒を禁じられるが、殊勝らしく、赤い顔をしずにいるのはほんのその当座だけで、いつでも「一合位は」からだんだん枡数(ますかず)がふえて、半月とたたない中に、いつの間にかまた元の杢阿弥(もくあみ)になってしまう...
芥川龍之介 「ひょっとこ」
...列座の人々はまだ殊勝らしく頭をうなだれている中に...
有島武郎 「或る女」
...などと古風な道学者みたいな事を殊勝らしく考えてみても...
太宰治 「桜桃」
...翌(あく)る日から殊勝らしく江戸の神社仏閣をめぐって拝み...
太宰治 「新釈諸国噺」
...殊勝らしくお経をあげてみても...
太宰治 「新釈諸国噺」
...などと殊勝らしく...
太宰治 「正義と微笑」
...それはわざと殊勝らしく装ったのか...
谷崎潤一郎 「細雪」
...今更後悔したように殊勝らしく項(うなじ)を垂れ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...また一方、この日の朝まだき、下諏訪の秋宮(あきのみや)の社前は、まがいものの鹿島の事触(ことぶれ)が、殊勝らしく、「さて弘(ひろ)めまするところは神慮(しんりょ)神事(かみごと)なり、国は坂東(ばんどう)の総社常陸(ひたち)の国、鹿島大神宮の事触れでござる...
中里介山 「大菩薩峠」
...向いてゐるさも殊勝らしく向いてゐるいいえ...
中原中也 「別離」
...と殊勝らしく注告するのであります...
西尾正 「陳情書」
...殊勝らしく湿っていたのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...平次は殊勝らしく部屋の隅っこに小さくなったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ちよいと待つて下さい」小三郎は殊勝らしく佛樣の前で線香などを上げてをりましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...妾のお源は殊勝らしく數珠(じゆず)など爪繰(つまぐ)つてをりますが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...南無頓生菩提」殊勝らしく念仏なんか唱えているところへやって来たのが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...制帽の方が殊勝らしくていいそうであるが...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
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