...裏山から歯朶を五六本折ってきて瓶に挿した...
種田山頭火 「雑記」
...歯朶の芽が興を引く...
種田山頭火 「旅日記」
...雄大な歯朶の葉が...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...溝の縁の歯朶や雑草の葉に...
豊島与志雄 「丘の上」
...そして、昔の所有者らの死、通りすぎた革命、昔の幸運の崩壊、無人、忘却、放棄と孤独との四十年、それらはこの特殊な一囲いの地に、歯朶(しだ)、毛蕊花、毒人参(どくにんじん)、鋸草(のこぎりそう)、じきたりす、丈高い雑草、淡緑のラシャのような広い葉がある斑点のついた大きな植物、蜥蜴(とかげ)、甲虫(かぶとむし)、足の早い臆病(おくびょう)な昆虫(こんちゅう)など、様々なものを呼び集め、名状し難い一種荒蕪(こうぶ)な壮観を、地下深くから引き出してその四壁のうちに現われさした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
......
内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...ゴムの長靴で朝露を含んだ歯朶を踏みながら私の後を追ふて来た...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...歯朶の群れのなかに咲いてゐた山水仙を祈つて...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...おみなへし、へらしだ、われもかう、烏萩、こうや万年草、いちはつ、狐の行灯、烏瓜、ぶらぶら提灯花、孔雀歯朶、盗棒萩、犬虱、しほん、獅子舞ひ蓮華、猫柳……等々と、一見見渡したゞけで忽ち百種類も数へあげることが出来るのである...
牧野信一 「バラルダ物語」
...何の見境ひもなく俺達一同は五月の朝風に撫でられる孔雀歯朶のやうに従順になびいて陶酔の無呵有に眠るであらうよ――ウルノビノ生れの愛(いと)しきピピヤスよ……」「シッダルよ...
牧野信一 「ファティアの花鬘」
...地に落ちるといつしよに脚場もなくころころと急斜面である歯朶類の「大森林」の中を転げて...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...俺達一同は五月の朝風に撫でられる孔雀歯朶のやうにうつとりとしてしまふよ...
牧野信一 「山彦の街」
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室生犀星 「愛の詩集」
...歯朶一枚でもこの庭にはおことわりである...
室生犀星 「庭をつくる人」
...歯朶(しだ)の茂みの中に鏡のように光っている水面は...
森鴎外 「阿部一族」
...いまは寒さがきびしく、涌き水は氷って、つららが垂れているし、歯朶類は枯れて、みじめにちぢれた葉が、川から吹きあげる風に、音もなくふるえていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...いつの間にやら夢殿村が丁度正面へ廻って来ていて歯朶の葉むらの中からはっきりと現れたので...
横光利一 「馬車」
...歯朶の中から湯の方へ突出している岩影からじっと身をひそめたままこちらを見詰めている信者の頭に気がついた...
横光利一 「馬車」
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