...老婆は歯朶(はぐき)を露(む)き出して...
泉鏡花 「活人形」
...門松や輪飾はめんどうくさいので、裏の山からネコシダを五六本折つてきて壺にした、これで十分だ、歯朶を活けて、二年生きのびた新年を迎へたのは妙だつた...
種田山頭火 「其中日記」
...歯朶活けて五十二の春を迎へたお屠蘇は緑平老から...
種田山頭火 「雑記」
...道の辺(べ)の 歯朶の群をのゝけり...
富永太郎 「無題」
...歯朶や雑草が生いかぶさっていた...
豊島与志雄 「丘の上」
...そして、昔の所有者らの死、通りすぎた革命、昔の幸運の崩壊、無人、忘却、放棄と孤独との四十年、それらはこの特殊な一囲いの地に、歯朶(しだ)、毛蕊花、毒人参(どくにんじん)、鋸草(のこぎりそう)、じきたりす、丈高い雑草、淡緑のラシャのような広い葉がある斑点のついた大きな植物、蜥蜴(とかげ)、甲虫(かぶとむし)、足の早い臆病(おくびょう)な昆虫(こんちゅう)など、様々なものを呼び集め、名状し難い一種荒蕪(こうぶ)な壮観を、地下深くから引き出してその四壁のうちに現われさした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
......
内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...朽(く)ちかかる歯朶(しだ)の...
夏目漱石 「虞美人草」
...ここかしこに歯朶(しだ)の茂りが平かな面を破って幽情を添えるばかりだ...
夏目漱石 「幻影の盾」
...足もとには末枯れた春日歯朶や厚い青苔がふかふかとあつたかい...
橋本多佳子 「椎の実」
...この歯朶も恐らく劫火のなかに生命を保つて来たものだらう...
原民喜 「火の踵」
...おみなへし、へらしだ、われもかう、烏萩、こうや万年草、いちはつ、狐の行灯、烏瓜、ぶらぶら提灯花、孔雀歯朶、盗棒萩、犬虱、しほん、獅子舞ひ蓮華、猫柳……等々と、一見見渡したゞけで忽ち百種類も数へあげることが出来るのである...
牧野信一 「バラルダ物語」
...そこで歯朶の字をこれに充てこれをヨワイノエダと訓(よ)ませ長寿を表象させている...
牧野富太郎 「植物記」
...鬼歯朶の葉が二枚...
室生犀星 「故郷を辞す」
...歯朶(しだ)の茂みの中に鏡のように光っている水面は...
森鴎外 「阿部一族」
...歯朶(しだ)などを眺めやった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...まるであたり一面の歯朶の山野は狂人の放し飼いをしてある牧場みたいなものであった...
横光利一 「馬車」
...鹿の斑点に揺れる歯朶の歯のさわさわと風のように移動していく山面を見ていたり...
横光利一 「馬車」
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