...此の時彼は急にあたりが明るくなつたやうに...
新井紀一 「怒れる高村軍曹」
...予が今に理窟を云うの癖があるは此の時代の遺習かと...
伊藤左千夫 「家庭小言」
...此の時には校長と次席訓導とが二人がかりで私を調べた...
太宰治 「思ひ出」
...此の時武州公は二十三歳であった...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...まことに此の時、桔梗の方も、則重も、武州公も、不思議な悪因縁に繋がれたまゝ業火(ごうか)の渦(うず)に捲(ま)き込まれてしまったら、三人ながら却って幸福であったかも知れない...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...恐らく此の時の老僧の心には船長やボーイその他の見送つてゐる者が佛の使者として考へられたのであらう...
近松秋江 「湖光島影」
...内閣は此の時を以て始めて総辞職の挙に出づるも未だ晩からず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...此の時代の倭國の状態は...
内藤湖南 「日本上古の状態」
...自然が如何に公平で如何に温いものであるかを心の底から会得したやうに感じたのも此の時が初めてゞあつた...
永井荷風 「海洋の旅」
...調べも申し渡しも悉く正式、人形の口書? を取って、拇印まで捺させたと言うのですから、正気だか茶気だか、此の時の名奉行、遠山左衛門尉の心持ばかりは凡人にわかりません...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...すると此の時、俺の上にいた道子がどうした拍子か誤って二枚牌を前に仆した...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...彼は此の時から、「惨劇の浮浪者」となりおおせたのだ...
浜尾四郎 「殺人狂の話」
...此の時護佐丸は王に申開きをする術もなく...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...又タクシ探しで時間を無駄にし――全く此の時間浪費はたまらない――阪急迄...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...本当に此の時からだと云ってよかった...
堀辰雄 「菜穂子」
...此の時婆あさんが今一つの蒸鍋を出して...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...ドルフは此の時やつと集まつてゐる人達を見定めることが出来た...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...此の時許りでは御座いませんでした...
若杉鳥子 「職業の苦痛」
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