...白墨(チヨオク)を食ひ欠きに行くのですと云ふのだ...
芥川龍之介 「山鴫」
...その程度についての的中を欠き...
海野十三 「予報省告示」
...家の者たちを笑わせるのには事を欠きませんでした...
太宰治 「人間失格」
...まさか私一人の用くらいに事は欠きませんから...
近松秋江 「霜凍る宵」
...(第三)石を打ち欠きて作れる槍形(やりがた)の者...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...(第四)石を打ち欠きて作れる鏃形(やじりがた)の者...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...為すべき仕事に事欠きはしない...
豊島与志雄 「過渡人」
...彼らの大音楽家は皆、ほとんど一人の例外もなく、たとえば近代の人を挙げずとも――ベルリオーズでもサン・サーンスでも、精力を欠き、信念を欠き、ことに内心の羅針盤(らしんばん)を欠いてるために、自家撞着(どうちゃく)をきたし、自己を破壊するようなことばかりをし、自己を否認しているのであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...力の均斉が安泰を欠き...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...比ひなき名誉と共に……」青年の語尾は震へて明瞭の度を欠きました...
牧野信一 「私の万年筆」
...勿論何を配合するにも配合上の調和を欠き候ては宜しからず...
正岡子規 「病牀六尺」
...夫の名のみ記して妻の名を欠き...
南方熊楠 「十二支考」
...そうしてもらうか? ヒッ! いうことに事を欠きやがって...
三好十郎 「胎内」
...生命を欠きやすいのは...
柳宗悦 「工藝の道」
...かかる性質をとかく欠きがちな最近の工藝品に比べ...
柳宗悦 「多々良の雑器」
...義理が欠きとうないため...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...スフィンクスから欠き落とされた表現は...
夢野久作 「鼻の表現」
...そちたちも、気ぼねが折れたことだろう」「桑名(くわな)を通るにも、長島へ入るにも、細心を要しましたが、しかし、長島城内へ足を入れると、これは成功するなと、何やら、予感がいたしました」「ふうむ、そのような士気が見えたか」「かねて、大坂表からお手をまわして、長島の家中や、城下の間にまで、いろいろお手をつくしておかれた御工作が、あきらかに功を奏(そう)しているものらしく……城下に来ておる徳川方の部隊と、北畠家の武者たちとは、互いに、冷たい眼で、行動を監視し合い、城中の士は同じ城内にありながら、何となく、一致を欠き、異論をいだきあい、とんと、ぬる湯にはいっている感じでした」秀吉は、さもあろう、とうなずいた...
吉川英治 「新書太閤記」
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