...それは西風槭樹(せきじゅ)を揺がすの候にして...
饗庭篁村 「良夜」
...セイゲン、ヤシオなど云う血紅色(けっこうしょく)、紅褐色(こうかっしょく)の春モミジはもとより、槭(もみじ)、楓(かえで)、楢(なら)、欅(けやき)、ソロなどの新芽(しんめ)は、とり/″\に花より美しい...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...左右の崖(がけ)から紅に黄に染みた槭(もみじ)が枝をさしのべ落葉を散らして...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...鼠色(ねずみいろ)したその羽の色と石の上に買いた盆栽の槭(はぜ)の紅葉(こうよう)とが如何に鮮(あざや)かに一面の光沢(つや)ある苔の青さに対照するでしょう...
永井荷風 「監獄署の裏」
...殊(こと)に其(そ)の間(あひだ)に交(まじ)つた槭(もみぢ)の大樹(たいじゆ)は此(これ)も冴(さ)えない梢(こずゑ)に日(ひ)は全力(ぜんりよく)を傾注(けいちゆう)して驚(おどろ)くべき莊嚴(さうごん)で且(か)つ鮮麗(せんれい)な光(ひかり)を放射(はうしや)せしめた...
長塚節 「土」
...時雨(しぐれ)の雲(くも)に映(えい)ずる槭(もみぢ)の梢(こずゑ)は確然(かくぜん)と浮(う)き上(あが)つて居(ゐ)ながら天鵞絨(びろうど)の地(ぢ)に深(ふか)く浸(し)み込(こ)んで居(ゐ)る樣(やう)にも見(み)えた...
長塚節 「土」
...途に遙に小爆布をのぞむ多度山の櫟がしたに刈る草の秣が瀧はよらで過ぎゆく養老公園落葉せるさくらがもとの青芝に一むら淋し白萩の花養老の瀧白栲の瀧浴衣掛けて干す樹々の櫻は紅葉散るかも瀧の邊の槭(もみぢ)の青葉ぬれ青葉しぶきをいたみ散りにけるかも十七日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...栂尾栂尾の槭(もみぢ)は青き秋風に清瀧川の瀬をさむみかも二日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...程ちかく槭をおほく植ゑたるあり...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...瀧の側に立つて仰いで見ると峭壁の上部からさし出た槭の枝が疾風に吹き撓められるやうに止まずさわ/\と動いて居る...
長塚節 「松蟲草」
...槭の葉はまだ青いのである...
長塚節 「松蟲草」
...日本(につぽん)では普通(ふつう)もみぢ(槭樹(せきじゆ))が一(いち)ばん多(おほ)いのです...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...槭樹や「しなのき」が樹の出生以来□用してゐた推退器の性□を夢想したか? 吾人は蒲公英のそれのやうに堅固な...
牧野信一 「卓上演説」
...日本の学者は『救荒本草』にある槭樹をカエデにあてているが...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...槭樹(ヤーセン)の影の落ちる歩道は八方から集って...
「赤い貨車」
...水っぽくしなびた婆さんみたいな鼻のある顔で目の前の槭樹(ヤーセン)の梢を眺めている...
「赤い貨車」
...優しい槭(もみじ)はすらりと立って...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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