...煤臭(すすくさ)い榾(ほた)の火だけが残った...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...かすかな榾明(ほたあか)りに照らされた...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...榾火(ほたび)に照らされた坊主の顔は骨と皮ばかりになった老人だった...
芥川龍之介 「伝吉の敵打ち」
...そして囲炉裏に榾(ほだ)をくべて...
薄田泣菫 「茶話」
...活発な論戦がいろりに榾(ほた)を折りくべながら展開されているうちに...
永井隆 「長崎の鐘」
...「榾(ほた)三束...
中里介山 「大菩薩峠」
...白くいぶる榾(ほた)の余烟(よえん)とを透して見定めると...
中里介山 「大菩薩峠」
...秋の菓物杉深き溪を出で行けば草山の羊齒の黄葉に晴れ渡る空鹽谷のや馬飼ふ山の草山ゆ那須野の霧に日のあたる見ゆ(下野鹽原の奥)山梨の市の瀬村は灯ともさず榾火がもとに夜の業すも(多摩川水源地)瓜畑に夜を守るともし風さやり桐の葉とりて包むともし灯黄葉して日に/\散ればなり垂れし庭の梨の木枝の淋しも二荒山いまだ明けねば關本の圃なる梨は露ながらとる羇旅雜咏八月十八日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...榾火(ほたび)のめらめらと燃えあがるのを見るだけで...
別所梅之助 「雪の武石峠」
...炉の榾火(ほだび)に...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あかあかと榾火の燃え上るのが物語りめいて水の面に映る頃まで...
三好達治 「一點鐘」
......
三好達治 「山果集」
...榾火のかげんにこつがある...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...……榾(ほだ)を焚(た)く田舎の囲炉裏(いろり)……都会のサロンの煖炉(ストオブ)……おお家庭の季節...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...めいめいが炉の榾火(ほたび)に手をかざしていると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ゆきゆけどいまだ迫らぬこの谷の峡間(はざま)の紅葉時過ぎにけりこの谷の峡間を広み見えてをる四方の峰々冬寂びにけり岩山のいただきかけてあらはなる冬のすがたぞ親しかりける泥草鞋踏み入れて其処に酒をわかすこの国の囲炉裏なつかしきかなとろとろと榾火(ほだび)燃えつつわが寒き草鞋の泥の乾き来るなり居酒屋の榾火のけむり出でてゆく軒端に冬の山晴れて見ゆとある居酒屋で梓山村に帰りがけの爺さんと一緒になり...
若山牧水 「木枯紀行」
...洋燈(ランプ)より榾火の焔のあかりの方が強い樣な爐端で...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...どんどと燃える榾火の側に運ばるる鮎の数もそれにつれて多くなった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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