...その高官中の高官のおかたも、ある宴席からの帰りがけ、酔いにまかせて、わたくしどもの婦人客の望みをかなえてくださいましたですよ」地底王国の主人公、ちょびひげ紳士は、万能の名医のように、柔和な顔、赤いくちびるにおだやかな笑(え)みをたたえて、じっとこちらの顔を見つめるのであった...
江戸川乱歩 「影男」
...昔の事は知りませんが、私が始めて逢いました時は、そんな山気(やまっけ)のある人のようでもなく、至って柔和な、人の好さそうな和尚(おしょう)さんでしたわ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「むかでの跫音」
...何かしら野暮な物を着た大柄で上品に見える女主人は柔和な顔で...
近松秋江 「霜凍る宵」
...白い顔の柔和な眉毛の下を遺恨(うらみ)のあるように...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...嬉しそうな色が父親の柔和な顔に漲る...
寺田寅彦 「やもり物語」
...そのくせ何かしら特に柔和な眼つきで彼の眼に見入っていた...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...その囃し子のまんなかに太鼓を打った花形の子は上方(かみがた)風の柔和な顔に梅幸(ばいこう)に似たうけ口をしていた...
中勘助 「小品四つ」
...色白の柔和な顔立ち...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...柔和な眼もとで、女中は丁寧に田部に頭をさげた...
林芙美子 「晩菊」
...柔和な面持ちのなかに...
火野葦平 「花と龍」
...彼は天真爛漫な柔和な娘の表情に...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...ただ漆黒の柔和な眼の下のあたりには...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...面貌(めんぼう)の柔和な少年で...
森鴎外 「魚玄機」
...たんば老人は柔和な微笑をうかべながら...
山本周五郎 「季節のない街」
...柔和な男であった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...柔和な眼をくばって...
吉川英治 「私本太平記」
...あの人がと思われるような柔和な相をして...
吉川英治 「親鸞」
...その従順柔和な性格は...
和辻哲郎 「鎖国」
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