...トその色も……薄いながら、判然(はっきり)と煤(すす)の中に、塵を払ってくっきりと鮮麗(あざやか)な姿が、二人が机に向った横手、畳数(たたみかず)二畳ばかり隔(へだ)てた処に、寒き夜なれば、ぴったり閉めた襖一枚……台所へ続くだだっ広い板敷との隔(へだて)になる……出入口(ではいりぐち)の扉(ひらき)があって、むしゃむしゃと巌(いわ)の根に蘭を描いたが、年数算(さん)するに堪(た)えず、で深山(みやま)の色に燻(くす)ぼった、引手(ひきて)の傍(わき)に、嬰児(あかんぼ)の掌(てのひら)の形して、ふちのめくれた穴が開いた――その穴から、件の板敷を、向うの反古張(ほごばり)の古壁へ突当(つきあた)って、ぎりりと曲って、直角に菎蒻色(こんにゃくいろ)の干乾(ひから)びた階子壇……十(とお)ばかり、遥かに穴の如くに高いその真上...
泉鏡花 「霰ふる」
...板敷(いたじき)は暗かった...
泉鏡花 「縁結び」
...椅子は板敷きのもので...
海野十三 「四次元漂流」
...その恐ろしい中味を廣間の板敷の上に放り出し...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...高い板敷から危つかしく下りて五六歩ついて來たかと思ふと...
田畑修一郎 「南方」
...亜鉛(トタン)の板敷きに...
徳田秋声 「黴」
...「たわけっ」下駄のまま、板敷へ、どんと、片脚踏み込んで、側の木片を握った時「小太郎っ」障子が開いて、小藤次が、次の間から板の間へ飛び降りた...
直木三十五 「南国太平記」
...これは板敷の左にある...
夏目漱石 「永日小品」
...そうして軽く足早に板敷を踏んで...
夏目漱石 「明暗」
...たゞ広々とした板敷の上に...
林芙美子 「浮雲」
...四畳半ほどの広さの板敷に...
久生十蘭 「虹の橋」
...十畳ばかりの板敷の向うには...
久生十蘭 「魔都」
...下の板敷の騒動をひろ子も始めは興にのり...
宮本百合子 「高台寺」
...板敷にジカに四角に坐つた...
三好十郎 「肌の匂い」
...板敷の上へ仰けになって落ちた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...三間(げん)幅(はば)ぐらいな板敷となっていて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...板敷のうえに展(ひろ)げ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...板敷川と呼んで居る樣に川床全體が板を敷いた樣な岩であるため...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
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