...だれでも――ことに顔や手の表情に本能的な興味を持つ外国人を――蠱惑(こわく)しないでは置かないはなやかな応接ぶりとで...
有島武郎 「或る女」
...子守唄をうたへば必ず何事を捨てゝも母の元へ飛んで行つて非常に落着いて膝を跪き靜かに念を入れてその頭を母の肩の邊に押し當てゝ顏を隱し嬉しき事あれば誰れにでも好んで接吻を求め或は兩手を祈るやうに組み合はして口のところへ置き持つてる物をとらうとする時奪ひとらうとすれば爭つて離さず手を合して頂戴をすればいそいで與へるこの本能的な動作は實にシンプルで貴い教へられ無いでする接吻や合掌である...
千家元麿 「自分は見た」
...生物学的・本能的な諸力も...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...で今や民衆の本能的な不安の内容が...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...半ばは本能的な肉慾から...
豊島与志雄 「子を奪う」
...私はここに一の本能的な法則があることを了解している...
序 豊島与志雄 「ジャン・クリストフ」
...本能的な深い貞節さで――聖(きよ)い感情で――夜の間いつも閉(し)め切られていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ただ本能的な反射的な笑いだ...
豊島与志雄 「憑きもの」
...一種の本能的な愛情よりして...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...全て感傷だとか性慾だとかいふ本能的なものを基調として生れてゐると思ふと...
中原中也 「その頃の生活」
...本能的なその芸術は...
中原中也 「デボルド―※[#濁点付き片仮名ワ、1-7-82]ルモオル」
...従って水夫たちにとっては、それは本能的な、肉欲的な、一対照より以外ではなかった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...本能的な且つ職業的な彼一流の計画を忘れて...
葉山嘉樹 「乳色の靄」
...しかも連中は一種本能的な連携がある...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...しかもそれらの天才において何が永遠なるもので何が一時的なるものであるかを本能的な確かさをもって感ずることができ...
三木清 「語られざる哲学」
...それにつけても母上の愛情の本能的な聰明さには深く敬意を感じます...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しかしその本能的な直覚においては内生の雑駁な統一の力の弱い文明人よりはるかに鋭いのである...
和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
...本能的な恐怖のために判断が麻痺(まひ)する...
和辻哲郎 「地異印象記」
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