...本能的な喜びだつた...
犬養健 「愚かな父」
...それは、犯罪前のあの微妙な変則的な心理の働き――謂(いわ)ば怯懦(きょうだ)に近い、本能的な用意、がそうさせたのだ...
大阪圭吉 「花束の虫」
...]6.どんな女でも生れながらの本能的な淑徳を備へてゐるもので...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...これから口にする事柄の唐突さを和らげようという本能的な動作だ...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「長い部屋」
...之は或いは現下に於ける民衆の本能的なジャーナリズム形態(表現報道現象)であるかも知れない...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...この青年の理智的な恋愛解剖が精妙を極めてるのに比してそれを裏切る本能的な愛欲が如何にも生彩に乏しいことである...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...服装(みなり)には大して気をつけていなかった――胸の開いた上着、不足がちなボタン、すり切れた汚ない靴(くつ)、おさんどんじみた様子――けれど、その若々しい優美さ、物やさしさ、本能的な愛敬、などで人の心をひいていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ただ本能的な反射的な笑いだ...
豊島与志雄 「憑きもの」
...」その咄嗟の本能的な叫び声に...
豊島与志雄 「春」
...一種の本能的な愛情よりして...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...人の精神状態は、その生活状態に依るものであり、従ってその経済状態に依るものであるという、本能的な意識と、快楽は一人で味うべきものではなく、大勢で味うべきものだという、放埓な認識とである...
豊島与志雄 「別れの辞」
...そして本能的な憎悪の感情に熱しながら...
萩原朔太郎 「ウォーソン夫人の黒猫」
...或はまたこれは日本の民族性による本能的な政治趣味であらうか――しかし確かに云へることは...
北條民雄 「癩を病む青年達」
...あたまの底までしんと静まり冴え返らせるような本能的な笑い声と交っているのであった...
室生犀星 「幻影の都市」
...――本能的な敏感とでもいうのだろう...
山本周五郎 「契りきぬ」
...……すこしの遅疑も躊躇もせずにグングン突き進んで来る傲慢なその態度に対する本能的な反抗心が...
夢野久作 「線路」
...すなわち細胞の中に潜在して伝わって来た野蛮人時代の本能的な記憶が...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そうして情緒の表現に外的事物の感じをば本能的な巧みさをもって利用している...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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