...賊は捕えたぞ」木蔭に忍んでいた刑事の一人が難なく曲者をとらえたのだ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...僅(わづか)の平地を得(え)て用意したる臥座(ぐわざ)を木蔭(こかげ)にしきて食をなし...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...木蔭の多い家のなかは涼しい風が吹き通った...
徳田秋声 「黴」
...棕櫚の木蔭から微笑(ほほえ)んで眺めてゐる母親もゐました...
豊島与志雄 「アフリカのスタンレー」
...老クラフトはよく木蔭にすわった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その白樺の木蔭に寝そべって果物を齧(か)じっていた...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...その裏木戸の上から白樺の木蔭になって「Green ……」という下手な横文字の看板の一部だけが見えていた...
堀辰雄 「晩夏」
...木蔭の芝生に毛氈など敷いて夜桜を仰ぐ晩のことが...
牧野信一 「サクラの花びら」
...わたしは何処かその辺の木蔭にハイキングの一隊でもがやすんで...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
......
槇本楠郎 「赤い旗」
...人を馬鹿にしてやがら!お初は木蔭をはなれると...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...木蔭涼しく緑の草の敷きつめられた花の香かぐわしい路をたどって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...木蔭には野生の雛罌粟(ひなげし)其他(そのた)の草花が丈(たけ)高く咲(さき)乱れて...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...辺りには木蔭もなく物の蔭もなく...
吉川英治 「三国志」
...たのもしい木蔭と寄って...
吉川英治 「私本太平記」
...この家こそが唯一の“たのむ木蔭”となっていたのである...
吉川英治 「私本太平記」
...木蔭や藪(やぶ)の中から覗(のぞ)いて...
吉川英治 「新書太閤記」
...夏ならば木蔭の涼しい所に...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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