...朧月夜(おぼろづきよ)の森かげほどの弱い照明がしのびこんで来る程度であるから...
海野十三 「海底都市」
...朧月夜(おぼろづきよ)の戸外へと彷徨(さまよ)い出たものとは思わず...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...けぶるような朧月夜(おぼろづきよ)でした...
田中英光 「オリンポスの果実」
...世は混乱の時といえ、さすが千有余年の王城の地には佳気があって、町の中には険呑(けんのん)な空気が立罩(たてこ)めて、ややもすれば嫉刀(ねたば)が走るのに、こうして、朧月夜に、鴨川の水の音を聞いて、勾配(こうばい)の寛(ゆる)やかな三条の大橋を前に、花に匂う華頂山、霞に迷う如意(にょい)ヶ岳(たけ)、祇園(ぎおん)から八坂(やさか)の塔の眠れるように、清水(きよみず)より大谷へ、烟(けむり)とも霧ともつかぬ柔らかな夜の水蒸気が、ふうわりと棚曳(たなび)いて、天上の美人が甘い眠りに落ちて行くような気持に、ひたひたと浸(つ)けられてゆく時は、骨もおのずから溶ける心地(ここち)がする...
中里介山 「大菩薩峠」
...李ちる朧月夜を...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...「波さえ音もなき朧月夜(おぼろづきよ)に...
夏目漱石 「一夜」
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野口雨情 「別後」
...誂(あつら)えたような銀鼠色(ぎんねずいろ)の朧月夜(おぼろづきよ)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...艶(なまめ)かしい朧月夜の情感が...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...朧月夜(おぼろづきよ)であった...
牧野信一 「鬼涙村」
...インヂアンのガウンでロシナンテを飛したいつぞやの晩と同じやうな朧月夜であつた...
牧野信一 「変装綺譚」
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正岡子規 「古池の句の弁」
...「朧月夜(おぼろづきよ)に似るものぞなき」と歌いながらこの戸口へ出て来る人があった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...朧月夜(おぼろづきよ)の尚侍(ないしのかみ)も静かな院の中にいて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...六条院はこの朧月夜(おぼろづきよ)の前尚侍と飽かぬ別れをあそばされたまま...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...冷たい賢がった女にだけなって逢っていて済むだろうかと朧月夜(おぼろづきよ)の尚侍(ないしのかみ)の心は弱く傾いていった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...朧月夜(おぼろづきよ)の君の二条邸へ院は微行でお出かけになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かの源氏物語にある朧月夜(おぼろづきよ)の内侍(ないし)と関係した光源氏のように...
吉川英治 「私本太平記」
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