...室内を朦朧とさした...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...物凄い光りのなかに朦朧として浮き上がって来た...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...文太郎の意識は漸く朦朧として此も夢で言つたのか現で言つたのか溷濁した其眼は覺めてゐるのか眠つてゐるのか其すら判明しなかつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...私の頭は朦朧としてゐる...
太宰治 「津軽」
...今にもまたサヤサヤと青萱を分ける音が響いて来てあの蝋のような顔色が朦朧と泛(うか)び出そうな気持がして...
橘外男 「逗子物語」
...五階になつた塔が朦朧として右側に見えた...
田中貢太郎 「黒い蝶」
...それから僕は何気ない顔つきをして俗謡のある一節を口ずさみながら朦朧とした意識に包まれて夕闇の中を歩き続けていた...
辻潤 「ふもれすく」
...だいたい朱や緑青や白など顔料の残痕が朦朧と見え隠れする程度なのは惜しい限りだ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...いまにもアーエートの亡霊が朦朧とよろめきだしてくるような気がする...
久生十蘭 「海豹島」
...朦朧とした向うには淡路島の描かれた書割を置く...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...梨畑が朦朧と煙つた白色の中に薄れて行くと...
北條民雄 「青い焔」
...そして皆目意識が朦朧としてしまひ...
牧野信一 「初夏通信」
...朦朧と光をにじませている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...へんに一種いひがたい朦朧とした...
室生犀星 「星より來れる者」
...又は朦朧と現われて来たものの姿と...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...彼はこの區別に朦朧としてゐると...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...海は灰色の霧でいかにも朦朧としてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...朦朧となつてくる...
吉川英治 「折々の記」
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