...就中後天的にも江戸っ児の称を曠(むなしゅ)うせざるものを我久保田万太郎君と為す...
芥川龍之介 「久保田万太郎氏」
...曠野(あれの)と湿潤(うるおい)なき地とは楽しみ...
内村鑑三 「デンマルク国の話」
...曠野にこうして、ただ立ちつくしているうちに、日がとっぷり暮れて、夜露にこごえて死ぬより他は無いのだろうかと思えば、涙の出ない慟哭(どうこく)で、両肩と胸が烈(はげ)しく浪打(なみう)ち、息も出来ない気持になるのだ...
太宰治 「斜陽」
...また一方の逆流は今の日本橋区(にほんばしく)の目抜きの場所を曠野(こうや)にした...
寺田寅彦 「函館の大火について」
...雪の積った曠野の中を彷徨する...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...いつまでも節旄(せつぼう)を持して曠野(こうや)に飢えるのと...
中島敦 「李陵」
...しかし茫洋たる支那大陸の曠野のまなか...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...そこで日が暮れて曠野の夜道をヴァヤドリィまで辿りついて一泊...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...溢れるような曠野の血が一方に流れて居り...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...水はその根を廻つて曠い野つ原を流れ...
室生犀星 「愛の詩集」
...あるいは江戸市西北の未開の曠野(こうや)にかくれて...
吉川英治 「江戸三国志」
...万人環視の曠(は)れの場で...
吉川英治 「私本太平記」
...曠(は)れの総帥(そうすい)の名に気負ってもいた...
吉川英治 「私本太平記」
...――血の曠野はただ狂える物のようでありながら...
吉川英治 「私本太平記」
...死に就くべき曠(はれ)のものを揃えさせていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...曠の扮装(ふんそう)をもって...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...曠(ひろ)い野に出るとふいに泣きたくなることがよくあるんだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...乙女峠から眺めて十里四方にも及ぶであらうと言つた曠野は大野原と呼ばれてゐる...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索