...獨りふら/\と有馬の家を出で、暗やみの道を、博物館わきに於いて、かのアカダモ――幽靈の手の樣な枝、すさんで行く自分を放浪の第一日に優しく、寂しくやはらげて呉れた幹――はこの邊だらうなどと考へた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...すると、暗やみの、むこうのほうから、「わかった、わかった、わかった……...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...また、はてしもない、暗やみの旅を、つづけるほかはないのです...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...神社の森は、たいへん広くて、大きな木が立ちならび、その枝が空をおおって、ひるまでもうす暗いほどですから、夜は星も見えない、まっ暗やみです...
江戸川乱歩 「海底の魔術師」
...」それをきくと、首領は、暗やみのなかで、グッとジャックのうでをつかみました...
江戸川乱歩 「海底の魔術師」
...暗やみの中の、不自由な手先だけの仕事ですから、その苦心は、ひととおりでなく、長い時をついやしましたけれど、それでもやっと、目的をはたして、緑ちゃんの両手を自由にすることができました...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...」若い警官はテキパキといって、暗やみの中を、グングンあき家の表口のほうへ歩いていきました...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...暗やみの中で目に見得る星辰(せいしん)の輝きと目に見えざる神の光輝とに感動し...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...暗やみのうちで瞑想(めいそう)しはじめた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ハロルドがハアッと息をして気がついた時、真っ暗やみの中、硬い地面に横たわっており、どこにいるか分からなかった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...その静かな暗やみで」ムルタは耳を立てて聞いたが...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...わが両の眼は暗やみとなる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...また前にまさるうばたまの暗やみ...
吉川英治 「江戸三国志」
...暗やみにも眼がなれて来て...
吉川英治 「江戸三国志」
...暗やみで書いたせいか...
吉川英治 「随筆 新平家」
...暗やみから曳きだした牛のようにぬうとしている...
吉川英治 「宮本武蔵」
...五暗やみ坂とでも称(い)いそうな...
吉川英治 「宮本武蔵」
...眼のなかはまっ暗やみになり...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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