...こういう時の葉子はそのほとばしるような暖かい才気のために世にすぐれておもしろ味の多い女になった...
有島武郎 「或る女」
...暖かいアフリカのこと...
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 矢崎源九郎訳 「眠りの精」
...微かに暖かい肉感が...
田中英光 「箱根の山」
...一月廿九日降つて曇つて暖かい...
種田山頭火 「行乞記」
...喜捨された暖かい衣はそこらに沢山(たくさん)にあつたけれど...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...南に向いた窓から河原の方に眼を放すと、短い冬の日はその時もう頭の真うえから少し西に傾いて、暖かい日の光は、そう思うて見るせいか四条の大橋の彼方に並ぶ向う岸の家つづきや八坂(やさか)の塔の見える東山あたりには、もう春めいた陽炎(かげろう)が立っているかのようである...
近松秋江 「黒髪」
...冬の日差しの暖かい静かな町へ...
徳田秋声 「仮装人物」
...生暖かい風に青臭い匂いがあった...
徳田秋声 「黴」
...兩毛の山々がぼんやりした日は西風が吹かないので隨て暖かい...
長塚節 「芋掘り」
...ことさらきょうは暖かい...
夏目漱石 「三四郎」
...「小永井の屋敷から、毎晩女の悲鳴が聞えるって、町内は大騒ぎですよ」「フーム」「乳母(ばあや)さんが死んだばかりだから、多分お化けだろうって言いますが、誰も姿を見たわけじゃありません」「手前(てめえ)も聴いたのか」「昨夜(ゆうべ)聴きましたよ、かれこれ亥刻(よつ)(十時)過ぎでしたが、町内の物好きな人たちと一緒に、路地を入って、小永井屋敷の塀の外に居ると、泣くような怨(うら)むような、何とも言えない女の悲鳴が――」「身振りまでしなくたっていい」「朧月(おぼろづき)で、生暖かい晩、あんな声を聞かされちゃ全くたまりません」「声の元を突き止めたかい、潜り込むとか何とかして――」「そんなわけには行きゃしませんや、相手は旗本屋敷で、下手に潜り込んで見付かると、無礼者ッと来る」「お化けに手討にされるのが怖かったんだろう」「へッ、冗談でしょう」ガラッ八をからかいながらも、平次は深々と腕を拱(こまぬ)きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...靜かに」柔(やはら)かい暖かい掌が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...女が特別彼のために積み重ねたらしいたくさんの暖かいかけぶとんのなかで不快に感じていた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...ベリントン大佐は壁が暖かいほかは何も気づかなかった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...暖かいより寒いを好く草であるといえる...
牧野富太郎 「植物記」
...それにあそこは暖かいんです...
室生犀星 「童話」
...暖かい三河の海近い故郷を...
柳田国男 「雪国の春」
...何処か暖かいところへ抱いて行かせ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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